日銀短観6月調査の見通しと7月金融政策決定会合の展望
円安への警戒を強める日本銀行
他方、日本銀行は円安への警戒を強めており、経済・物価動向よりも、為替動向が金融政策決定に与える影響が一段と高まっている。6月24日に公表された日本銀行の主な意見もそれを示唆している(コラム「為替は1ドル160円目前に:円安への警戒を強める日銀(日銀主な意見)」、2024年6月24日)。 主な意見では、円安についての言及が目立った。円安への対応では、円安で物価が押し上げられ、2%の物価目標達成の確度が高まるのに合わせて金利を引き上げるべきとの見解と、円安は個人消費などに悪影響を与えることから、そのリスクを軽減するために金利引き上げで対応すべき、との2種類の見解が暗に示されたと考えられる。 この先、円安がさらに進めば、円安を食い止めることも狙って、7月には国債買い入れ減額と同時に、日本銀行が追加利上げを実施するとの観測が強まる可能性がある。 他方、日本銀行は政策を小出しにすることで、円安のけん制効果を持続させようと狙っている可能性も考えられる。この場合には、7月には国債買い入れ減額のみを決定し、そのうえで9月以降の追加利上げを示唆することも考えられるところだ。 現状では後者の可能性の方を高く見て、追加利上げは最短で9月と考えておきたい。物価高で個人消費が弱い中、政府が国民に不人気な利上げを望んでいないことも、日本銀行の追加利上げを当面制約することが考えられる。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
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