【コラム】BC出走牝馬が直後にセリで売買 大レースとセリ直結のダイナミズムが米国競馬の強み
現地2日(土曜)に終わったブリーダーズカップ(以下BC)の熱気もさめやらぬ4日(月曜)、競馬が行われた西海岸のデルマー競馬場から遠く離れたケンタッキー州レキシントンでは、現役牝馬と受胎馬を含む繁殖牝馬を対象とするファシグティプトン社のノベンバーセールが開催されました。 昨年はBCフィリー&メアスプリントに勝ったグッドナイトオリーブ(父ゴーストザッパー)が、600万ドル(約9億円)で落札されて話題になりましたが、今年もBC終了後、すぐに飛行機に乗った複数の牝馬が、セールスリングに並んでセリを盛り上げました。 今年の最高価格600万ドル(約9億円)で落札されたのはフランケルを父に持つマキューリック(牝5)。BCには出走しませんでしたが、一昨年のG1ベルモントオークスなど米重賞に6勝を挙げた良血馬で、購買したのは昨年もこのセールで高額馬を購買した日本のグランド牧場でした。 “クールモア”のマグニーア夫人に2番目に高い510万ドル(約7億6500万円)で落札されたのはBCマイルを取り消したフランスのラマチュエル(牝3、父ジャスティファイ)。日本でも馬券が発売されたBCフィリー&メアターフを制したモイラ(牝5、父ゴーストザッパー)は430万ドル(約6億4500万円)で、正体の明かされていないベイルスという団体に売却されて繁殖入りが決定。同レースで5着だった古豪ウォーライクゴッデス(牝7、父イングリッシュチャンネル)も180万ドル(約2億7000万円)で新たな所有者の手に渡りました。 世界の耳目を集める大レースで発揮したパフォーマンスの記憶も鮮やかなうちにセリを直結させるダイナミズムこそが、米国競馬サークルの強みと言えるかもしれません。【ターフライター・奥野庸介】(ニッカンスポーツ・コム/極ウマコラム「ワールドホースレーシング」)