安齊勇馬は「王道の救世主」〝外敵〟中嶋勝彦から奪取!最年少三冠王者誕生で全日本の風向きが変わる
【今日も一緒にプロレスを楽しみましょう!】 全日本プロレスいや日本マット界を彩ってきた、春の祭典「チャンピオン・カーニバル(CC)2024」の開幕(4月18日、後楽園ホール)が迫っている。最近の全日本プロレスは集客で新日本プロレスに水をあけられ、一強時代を許している。石川修司ら選手だけでなくスタッフとしても団体を支えていた選手の離脱もあり、団体の存亡がささやかれるなど危機感も募っていた。 【写真】チャンピオンカーニバル優勝を誓う安齊勇馬 そんな風向きを一気に変えたのが、先の3・30東京・大田区大会で誕生した新三冠王者・安齊勇馬だ。キャリア1年半、24歳10カ月での戴冠という史上最年少記録を打ち立て、見事に「全日新時代」を呼び込んだ。 しかも闘魂スタイル改め××スタイルを掲げた〝外敵〟中嶋勝彦からの奪取だった。中嶋は赤いマフラーを首に巻き、猪木を思い出させる特訓を繰り返すなど、ジャイアント馬場が創設した全日本にアントニオ猪木を持ち込んだ。馬場と猪木が競い合っていた時代を知るファンからは反感を買っていた。 まさに「王道の救世主」といえる安齊だが、いかんせんキャリアはまだまだ。大苦戦の末の逆転勝利だったため、厳しい声が多いのも事実。安齊本人も重々、承知している。その責任を重い十字架とは思わず、1999年生まれの若者らしく「ファンとの約束を守ることで果たしていく」と決意を固めている。 ホームタウンは渋谷に下北沢。ショップを見回り、最新ファッションもチェック。2週に1度は美容院に通いヘアスタイルを整える。楽しい酒席も大好きだが、チョコバナナパフェも大好物。令和の若者らしさ全開である。 安齊の正念場となるCC。73年の第1回優勝者はジャイアント馬場だった。CCを2回制した初代三冠王者のジャンボ鶴田は、安齊と同じく中央大出身。「就職します」や、若くして将来設計を口にした鶴田は、従来のレスラー像と一線を引き「新人類」と評された時期もあった。99年に亡くなったが、いまだ「最強説」も根強い。 安齊が同じく中央大の先輩、諏訪魔とともに憧れの存在として名前をあげるのが鶴田だ。入門時から期待を集め、女性人気も高いなど共通点も多い。鶴田のようにキャリアを重ねることで、黄色い声援に男性ファンの応援が加われば、まさに虎に翼だろう。
近々、安齊は新たなコスチュームを披露するという。変身するのはCC開幕戦か、それとも三冠王者としてCC制覇という偉業を達成してからか。カラフルなのか、精悍(せいかん)さを際立たせる黒髪を生かした黒の進化系か。いずれにせよ、令和のプロレス界を支える安齊勇馬から目を離してはいけない。 =文中敬称略 (プロレス解説者・柴田惣一)