超長期金利の上昇止まらず、日銀オペ不透明-12年ぶりスワップ差
(ブルームバーグ): 超長期国債利回りの上昇が止まらず、スワップとの金利差は30年物でアベノミクス前となる12年ぶりの水準に拡大した。日本銀行の国債買い入れオペを巡る不透明感という需給要因が歴史的な金利差を生み出している。
ブルームバーグのデータによると30年国債利回りとスワップの差は29日時点で42ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と2012年11月以来の水準に広がった。スワップ金利を払って国債を買うと、2年国債利回りを上回る42bpの収益を確保できる計算だ。スワップは変動金利と固定金利を交換する取引で、金利上昇時の保有債券の損失を補うヘッジ効果がある。
この差の拡大は投資家が金利上昇に備える一方、割安な超長期国債購入に消極的であることを示唆する。日銀が6月の金融政策決定会合で国債買い入れを現在の月6兆円程度から減らす方針を示すとの観測が、通常の金利裁定を妨げている。減額余地が大きい中長期金利が上がると価格変動の大きい超長期債がより上昇する。金利の高さだけでは外債運用中心の国内投資家の円債回帰につながらない。
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三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、金利差拡大について「追加利上げよりも需給悪化の影響が国債利回りの上昇に表れている」と指摘した。パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長も「日銀があす政策変更するわけではなく、債券相場の下落は需給バランスの崩れによる要因が大きい」として「買いが入りづらくなっている」と述べた。
日銀は13日の国債買い入れオペで、残存期間「5年超10年以下」の購入額を500億円減らした。これを受けて市場では日銀が早期に国債買い入れ減額に動くとの観測が広がり、10年債をはじめ全年限にわたって金利上昇に弾みがついた。
日銀の安達誠司審議委員は29日の記者会見で、国債買い入れについて、将来のどこかの時点で減額させるとしながらも、債券市場の需給や機能度、流動性の状況を総合的に勘案しつつ「段階的に減額していくことが望ましい」とし、本格的な減額計画をあらかじめ示すことには慎重な認識を示した。