<頂きへ!・センバツ2023大垣日大>/1 夏の初戦敗退、糧に 投手陣、一から整備 /岐阜
「スイングスピード、打球の質、投手の球速。レベルが違う。自分たちは甲子園で勝てない」。星稜(石川)と対戦した昨春のセンバツ2回戦をアルプスから見ていた現チーム主将の日比野翔太(2年)はそう考えていた。星稜の打者は凡打でもしっかりボールを捉えており、投手は140キロ超の速球をどんどん投げ込んでいた。この試合は2―6で苦杯を喫したが、2018年夏から遠ざかっていた甲子園で全国レベルに触れたことは大きな収穫だった。 星稜戦に出場した山田渓太、高橋慎、米津煌太、袴田好彦(いずれも2年)らが軸となり、夏の甲子園に向け意気込んでいたが、思いも寄らぬ壁が立ちはだかった。新型コロナウイルスだ。6月に部員間で感染が広がり、ほぼ1カ月間、全体練習ができなかった。調整不足のまま迎えた夏の県大会。美濃加茂との初戦はミスが響いて流れに乗れず、2―7で敗れた。まさかの初戦敗退に山田は「あれよあれよと進んでしまった」と反省する。 敗戦から3日後。阪口慶三監督(78)から「熱い男」と見込まれた日比野が主将に就いた。秋の県大会まで1カ月あまり。勝ち進んだ他のチームと比べれば時間は十分あったが、阪口監督は「目の前が真っ暗だ」と頭を抱えた。星稜戦で登板した山田は腰を痛め、復帰のめどが立っていなかった。 秋も地区予選で敗退する恐れを感じた阪口監督は投手陣を一から作るため、部員のほぼ全員をブルペンで投げさせ、球筋を見た。力があると見込んだ保田篤史(2年)や桜井温大(2年)、権田結輝(1年)、松井寿才凰(すさの)(1年)を地区予選で登板させると、いずれも好投し、4戦全勝で県大会に駒を進めた。 その頃、腰のリハビリに励んでいた山田。投球するとき腰に負担をかけないよう、肩甲骨や肩の周りの筋肉を柔軟に使って投げるよう意識した。そして迎えた秋の県大会。痛みが取れた山田は、万全の状態でマウンドに向かった。=つづく ◇ ◆ 第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社・日本高校野球連盟主催)への出場を決めた大垣日大。2年連続5回目の切符を手にしたナインは3月18日の開幕に向け、練習に励んでいる。目指すは07年の準優勝を超える初優勝。甲子園の「頂き」を目指すナインのセンバツまでの道のりを紹介する。