中国人留学生を書類送検! 「電動スーツケース」は日本で普及するかのか? その規制と課題に迫る
かつて日本でも話題
空港ではどうしても長距離を歩かなければならない。オドネル氏によると、テキサス州のダラス・フォートワース空港では利用者が2マイル(約3.2km)以上の距離を歩くこともあるという。スーツケースを引きながらの長距離移動は体に大きな負担をかけてしまう。 モドバッグは屋内モードで時速6.5km、屋外モードで時速11kmで走行でき、荷物を持ったまま快適に移動できる。また、 ・米国運輸保安局 ・連邦航空局 ・国際航空運送協会 の規格に適合しているので、機内にも持ち込める。関連するYouTube動画には空港内を快適に走行している様子が映し出されている。2016年にインディーゴーゴーで資金を集めた当時、日本でも話題となり、 「楽しそう」 「乗ってみたい」 といった好意的な意見が多かった。 しかし、現在では状況が一変している。パンデミックが終息し、日本に再び外国人観光客が戻ってくると、街中で電動スーツケースを乗り回す姿が問題視されるようになったからだ。
日本上陸の壁
電動スーツケースに限らず、海外で生まれた新しいモビリティは、日本ではそのままでは走行できないことがほとんどだ。 そのため、電動キックボードやモペットのメーカーも日本市場に進出する際は、必ず販売代理店となるパートナーを見つけてから販売戦略を立てる。 「日本の法律を熟知したパートナー」 がいなければ、製品を販売することも難しい。 また、電動スーツケースの場合、日本の公道を走るために必要な保安部品を取り付けるスペースがないと考えられる。 もちろん、空港は公道ではないので、道路交通法は適用されない。モドバッグの製品コンセプトを見ても、電動スーツケースはもともと空港内で快適に移動するための乗り物だ。であれば、成田空港や羽田空港でこれを利用しても問題はないのではないだろうか。
主要5空港の規則を解説
結論として、日本の国際空港では電動スーツケースを走行させるのは難しい。以下、羽田、成田、関西、中部、福岡の主要5空港の規約を見ていこう。まずは羽田空港から。 「他のお客さまとの接触事故を防止するため、羽田空港ターミナル内における電動スーツケースによる走行はご遠慮いただきますようお願い申し上げます」 安全確保の観点から、実際には走行できないようになっている。 次に成田空港。成田国際空港でも利用者の安全のため、電動スーツケースでの走行は控えてほしいと案内されている。 「お控えいただきますよう」 という表現だが、これも走行禁止と考えるべきだろう。 続いて、関西国際空港の規約を見ていこう。 「関西国際空港ではお客様同士の安全のため、電動スーツケースによる走行を禁止しております。皆様のご理解をお願い申し上げます」 ここでは「走行を禁止」と明確に示されており、羽田や成田よりもさらにはっきりと使用を断っている。 次は中部国際空港だ。 「中部国際空港セントレアでは、お客様の事故防止のため、電動スーツケースに乗っての移動は禁止しております。皆様の安全確保のため、ご理解とご協力をお願い申し上げます」 関西と同様に「禁止」と明記されている。 最後に福岡空港である。 「福岡空港ターミナルビル内における電動スーツケースによる走行は他のお客さまとの接触事故を防止するため、ご遠慮いただきますようお願い申し上げます」 「ご遠慮いただきますよう」と柔らかい表現だが、実質的には走行禁止と考えていいだろう。 空港内を楽に移動するためというコンセプトで開発された電動スーツケースだが、日本の空港では完全に締め出されているのが現状だ。