ドライバーシャフト「6S神話」はもはや崩壊か?/女子プロクラブ考VOL.3
ヘッドは低スピン×シャフトはやさしめ傾向?
昨年の「日本女子オープン」で優勝した原英莉花と、「TOTOジャパンクラシック」で優勝した稲見萌寧にはある共通点があった。共にシャフトはニュートラルでクセのないUSTマミヤ「The ATTAS V2」に、ヘッドは低スピンヘッドの「パラダイムツアー」(原英莉花)と「ステルス2プラス」(稲見萌寧)の組み合わせ(稲見は昨秋時点。現在は低スピンヘッドのQi10LSに変更しシャフトは継続)。パラダイムツアーもステルス2プラスも低スピンヘッドの中では若干マイルドではあるが、そこに「The ATTAS V2」を組み合わせることで、スピン量を若干増やし、操作性アップを狙っていると推測できる。低スピンヘッドにハードすぎないシャフトの組み合わせ、強い選手のセッティングは参考になる。「パラダイム◆◆◆S」の低スピンヘッドに、先中調子ながら先端が走りすぎない藤倉コンポジット 「VENTUS TR RED」を組み合わせる上田桃子も似たような感じだ。
一方で、コントロール性が高くてつかまりのいいスリクソン「ZX5 Mk II」に、つかまり過ぎを抑えフェードが打ちやすい藤倉コンポジット「SPEEDER NX GREEN」を合わせて“叩ける仕様”にした山下美夢有。こちらはヘッドはやさしめ、シャフトは低スピン傾向で、原や稲見とは逆パターンだ。いずれにしても、低スピン×低スピンというのは穴井詩のみ。「エピック フラッシュ サブゼロ ◆◆」という低スピンヘッドに、三菱ケミカル「TENSEI CKプロ オレンジ」という低スピンシャフトを組み合わせている(しかもロフト8.5度!)。我々アマチュアは、ヘッド、シャフトのどちらかはスピンが入るモデルを選んだほうが無難だろう。 プロゴルファーは納得して気に入ったシャフトを長く使う傾向があり、シーズン中に変更することは希少。特に女子プロは、シャフト選びに関してはヘッドよりも慎重といえる。中には鈴木愛のように、メーカー純正シャフトを気に入って長く使う選手もいる。ヘッドとの相性を考えると、純正シャフトほど強いものはないだろう。我々アマチュアも、最新シャフトにこだわるよりも、タイミングの取りやすさを重視し、その中で重さ、硬さ、長さも妥協しないことが大切。とりあえず「60S」と決めつけず、試打して長く使える一本を見つけよう。(文・田島基晴)