ドライバーシャフト「6S神話」はもはや崩壊か?/女子プロクラブ考VOL.3
硬さは「S」が主流 パワーヒッターは「X」
続いて硬さの傾向をみると、40人中「S」が最多の29人、「SR」が5人、「R」が4人、そして「X」が2人という打ち分けになった。先ほどの重さの話と総合すると、やはり「5S」が今の女子プロのトレンドと言え、「5S」の組み合わせが定番化しているのだろう。
シャフトの「硬さ」に関しては、どちらかというとインパクトの安定感(ミート率)を基準に選んでいると思われる。硬い方がミート率は上がるが、硬すぎるとパワーがないと振れなくなる。一方で柔らかいとミート率は下がるがタイミングが合えば飛ばせる。つまり、ミート率が下がらない範囲で振り切れる硬さということで、女子プロの中では「S」が人気なのだろう。となると、振り切れるパワーがあれば「X」の選択肢も考えられ、実際に飛ばし屋の神谷そらは「5X」をチョイスしている。神谷が使うヤマハの新作「RMX VD/M」は、ロフト角10度にしてヘッドはある程度のやさしさを出し、シャフトは藤倉コンポジット「VENTUS BLACK」の「X」というハードスペックにしてバランスを取る。HSに自信のある読者諸兄は「5X」も一考していただきたい。もう一人の「X」シャフトは、こちらもハードヒッターの渡邉彩香。重量も60グラム台というハード仕様だ。持ち球がフェード系なので、叩ける「重硬シャフト」は扱いやすいのではと推測される。
長さの主流派45インチ前後
続いて長さ。長さに関してはある程度想像つくと思うが、長い方がヘッドスピードが出るもののミート率は落ちる。一方で短いとスピードは出ないが、ミート率は上がる。扱いこなせるのであれば、長い方が飛ばせるというわけだ。ただし、2022年よりプロゴルフ及びトップアマチュアの公式競技では、パターを除いたクラブの長さが46インチ以下にルールで制限された。原英莉花がルール規制前に46.5インチを使用していたのは覚えている方もいるかもしれないが、ルール変更後、今は46インチとルール限界の長さにしている。彼女は長さを短くするときに、「ドライバー選びに悩んだ」とコメントしていたが、やはり長さのアジャストは簡単にはいかないのだろう(USTマミヤ「The ATTAS V2」5Sをチョイス)。 調査の結果を見ると原のような46インチは特例で、ほとんどの選手は44.75~45.25インチの長さに収まっていた。45インチ前後が「ミート率が落ちない最大の長さ」なのだろう。そう考えると、46インチを使いこなす原の技術力の高さには頭が下がる。大手シャフトメーカーのフィッターに話を聞くと、理屈上は長くすればするほどHSは上がるが、実際にクラブを長くしてHSが速くなったアマチュアはほとんどいないそうだ。実際にボールスピードが上がり、飛距離アップする人は10%に満たないとのこと。長いものを速く振るにはコツもいるようで、長いと単純にミート率もダウンするので、アマチュアにとっては短い方が無難かもしれない。