日本国歌に容赦なき大ブーイング「残念」…敬意欠く“マナー問題”「まだあるのは寂しい」【見解】
【専門家の目|金田喜稔】中国戦で日本の国歌斉唱時にブーイング「寂しいところ」
森保一監督が率いる日本代表(FIFAランキング15位)は11月19日、2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選第6戦で中国代表(同92位)と対戦し3-1の勝利を飾り、W杯出場に王手をかけた。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、日本の国歌斉唱時にブーイングが鳴り響いた件について「プレー以前の話で、品やマナーの問題」「ピッチ外の行為は残念な部分でもある」と持論を展開した。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部) 【実際の映像】「まだあるのは寂しい」中国サポーターが日本の選手にブーイングした決定的瞬間 ◇ ◇ ◇ 前回対戦ではホームの日本が中国に7-0と完勝したなか、今回の中国戦ではスタジアムが満員となり、完全アウェーの空気に包まれた。試合前、君が代の日本国歌斉唱時にはブーイングが起きる一幕もあった。 金田氏は「わしらの時代は、海外アウェー戦といえばバスに乗って相手サポに囲まれて帰れないこともあったし、石や物を投げられたこともあった。罵声や妨害なども相当酷かった。そう考えると完全なアウェー戦でも、昔に比べれば全般的な対応は良くなってきていると思う」と前置きしつつ、次のように続ける。 「とはいえ、国歌時のブーイングに関してはプレー以前の話で、品やマナーの問題。中国サッカー界は日本を参考にしてきた側面もあっただろうし、ファンの中にも日本サッカーへの憧れや羨望の念は少なからずあると思う。結果を残す日本代表にさまざまな感情があるのだろう。世界中がフェアプレーの精神に則り、互いにリスペクトしながら応援したりプレーしようと声を掛け合っているなか、アジアの一員として国歌時のブーイング行為などがまだあるのは寂しいところだ」 白熱の攻防を高く評価する金田氏は「中国戦でピッチ内のプレーに目を向ければ、球際での激しいやり合いは見られたものの健全な範疇だったし、昔のようにラフプレーが連発されるようなことはなく、両チームとも全力を尽くし見どころ十分だった」と両軍の奮闘に拍手を送りつつも、「それだけにピッチ外の行為は残念な部分でもある」と訴えた。 [プロフィール] 金田喜稔(かねだ・のぶとし)/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。
FOOTBALL ZONE編集部