なぜ渋谷がマンホールの聖地に? ハンズ渋谷店に誕生した「HANDSマンホールベース渋谷」の魅力に迫る。
東京・渋谷に誕生した「HANDSマンホールベース渋谷」は、日本全国各地のその土地を代表する題材を取り入れたマンホールの蓋=デザインマンホールの魅力を発信する新スポットだ。マンホールカードの産みの親である山田秀人氏(NISHIMURA PROJECT)にその魅力を伺った。 【画像】ハンズのマンホールベース渋谷にはこんなにたくさんのデザインマンホールグッズが!
デザインマンホールに注目が集まる!
全国各地で増えている「デザインマンホール」は、地域の建築物や名産品、偉人、さらには地元ゆかりのアニメやマンガのキャラクターといった題材をマンホールのデザインにしたご当地ものだ。ちなみに、筆者の出身地である北海道のデザインマンホールだと、札幌市は雪ミクだったり、釧路市は白鳥だったり。見かけたら「つい」撮ってしまうのは、筆者だけではないはず。 首都圏の近郊では「ふっかちゃん(埼玉県深谷市)」デザインや「MFゴースト(神奈川県小田原市)」デザインのものなどがある。こちらも気になる人は、記事を読んでもらいたい。 特に、ここ数年は、デザインマンホールをコレクションカード化した「マンホールカード」の人気に火が付いたことで、各地のデザインマンホールがより脚光を浴びることとなった。マンホールカードの産みの親として知られる山田秀人氏によると、マンホールカード誕生の背景に、「汚い」や「臭い」といった下水道のイメージを改善する目的があったという。 マンホールカードは配布場所が限定されており、その場所に行かなければもらえないということもあって、今では観光コンテンツとしても注目を集めている。観光地でその土地のデザインマンホールを巡り、マンホールカードをもらってくるなんていうのも、最近では増えているのだ。
何故、渋谷にデザインマンホールの聖地を?
東京・渋谷にある「ハンズ渋谷店」(渋谷区宇田川町)に、先の山田秀人氏のプロデュースする、デザインマンホールの聖地「HANDSマンホールベース渋谷」がオープンするという情報を得たKURU KURA編集部は、さっそく現地を取材することにした。「聖地」という響きは、マンホールカードコレクターをときめかせそうだが……一体どんな空間なのか。 オルガン坂に面する1Aフロアの一角にある「HANDSマンホールベース渋谷」には、デザインマンホールのステッカー、チェアパッド、Tシャツなど、1000アイテム以上(約300デザイン)のグッズが並んでいる。エレベーター前ということもあり、足を止めるマンホールカードコレクターやハンズ渋谷店の来店客は多いようにみえる。中には、興味津々の外国人観光客の姿も。 さっそく出迎えてくれた山田秀人氏に、何故、「HANDSマンホールベース渋谷」をつくることにしたのか尋ねてみた。 下水道のイメージアップや地域の観光活性化に貢献してきたデザインマンホールだが、そのファン層はカードのコレクターに偏重しがちだという。次のステージとして、幅広い層の人にデザインマンホールの魅力を伝える段階にきたことが、デザインマンホールの聖地をつくる、そもそもの理由であったと山田氏は話す。 そうなると、次なる疑問は、何故、渋谷なのかという点だ。 マンホール製造会社の営業マンだった山田氏は、かれこれ10年前、マンホールのイメージアップを目的とした広報活動をするようになったという。そのとき、PRに使用していたのがスクランブルスクエアを行き交う「人」と渋谷のシンボル「ハチ公」をモチーフにした「道玄坂のマンホール」だったそう。 このマンホールは、渋谷らしさを強調しつつ、デザイン性と遊び心を兼ね備えており、デザインマンホールとしての魅力が詰まっているのだとか。 そうした経緯もあって、道玄坂のマンホールのある渋谷こそマンホールブームの発祥地に相応しいと、「訪れたすべての人にデザインマンホールはおもしろい!と感じてもらえる場所」をコンセプトに、渋谷の中心地にあるハンズ渋谷店に魅力発信拠点をオープンしたという。 ちなみに「HANDSマンホールベース渋谷」で最も人気なのも、「道玄坂のマンホール」のグッズで、売り切れも続出しているとのこと。 さらに、HANDSマンホールベース渋谷では、オープンを記念して新しいマンホールカード「WORLD MANHOLE COLLECTION(ワールドマンホールコレクション)」を数量限定で配布中だ(グッズを2000円以上購入で1枚プレゼント。現在は好評につき配布終了。再開は公式Xアカウントで案内予定)。 このワールドマンホールコレクションカードは、山田氏が今冬に展開を開始する最新のご当地カードで、デザインマンホールを全国共通の街のシンボルマークと位置付け、全国の観光案内所で配布(販売)する予定のものだ。観光案内所に行けば誰でも「街を訪れた証」として手に入れられることから、既存のコレクターだけでなく、新規のコレクターも気軽に収集をはじめられるよう配慮したかたちとなっており、新たなデザインマンホールのファンの拡大につながることが期待されている。
文・写真=KURU KURA編集部