アップルM4 Pro搭載「MacBook Pro」実機レビュー:チップだけじゃない進化を探る
性能は大幅アップ。メインメモリーも変化
ではプロセッサーはどうだろうか。 今回はGeekbench 6とGeekbench AIに加え、Cinebench 2024で性能テストをした。 テストによって機種が異なっているのは、テスト対応機種の差異(Cinebench 2204)と、アプリの公開時期が最近である(Geekbench AI)ことによるもの。 Geekbench 6の値を見ると、速度はかなりはっきりと上がっているのがわかる。M3 Proが速度よりも消費電力重視の構造だったため、ジャンプアップが特に明確だ。 Cinebenchでのテスト結果でも性能向上ははっきり見える。2023年のトップクラスである「M3 Max」に迫る性能だ。 それでいてバッテリー動作時間自体も最大18時間から22時間に上がっている。ここも重要な点になるだろう。 GPUについては結局性能はコア数に依存するわけだが、流石に20コアモデルは速い。M3 Proまでは最大18コアだったのでその影響は大きいだろう。 これらの結果は、今回メインメモリーの帯域が大幅に引き上げられたことと無関係ではない。M3 Proでは最大150GB/秒だったが、M4 Proでは273GB/秒になっている。当然負荷の大きなタスクではプラスだ。 同時にこのことは、Apple Intelligenceを中心としたオンデバイスAIにも影響してくる。メモリー上に置かれたAIモデルとデータを、Neural EngineやGPUとの間で高速にやり取りしながら処理を行うためだ。 iPhone(A18 Pro)・iPad Pro(M4)と、同じ世代のプロセッサーの場合、基本的にはGeekbench AIの結果は同じようなものになる。だがM4 Pro搭載のMacBook Proは、同じ世代のNeural Engine搭載ながら、多少テスト結果が良くなっている。 小さな差ではあるので、この差が使い勝手に大きな変化をもたらすか……というと、そうではないと思う。ただ、こんなところにも変化が現れていると考えると非常に興味深い。 なお、Apple Intelligenceに備えるため、今回発表されたMacはすべて、メインメモリーが「16GB以上」になっている。発売済みのM2・M3搭載のMacBook Airについても、メインメモリーは16GBまで増量された。Mac miniも16GBからだ。 この辺はiPad miniのメインメモリーが4GBから8GBに増えたことと事情は同じ。基本的にお買い得感が増している。
西田宗千佳