アップルM4 Pro搭載「MacBook Pro」実機レビュー:チップだけじゃない進化を探る
アップルは11月8日から、新しいMacを複数発売した。今回は新製品の中でも、プロセッサーに「M4 Pro」(CPUコア14・GPUコア20・メインメモリー48GB)を搭載した「MacBook Pro」をチェックしていく。 【全画像をみる】アップルM4 Pro搭載「MacBook Pro」実機レビュー:チップだけじゃない進化を探る 同時に発売される「Mac mini」と異なり、本質的にはプロセッサーの刷新になるが、それだけではない細かな変化もある。詳しく解説しよう。
反射低減の「Nano-textureディスプレイ」を選択可能に
MacBook Proは2021年秋にデザインを刷新しており、現在も同じデザインが継続して使われている。今回も大きな変化はない。 今回試用したのはスペースブラックのモデル。指紋などが目立ちにくい加工になっており、安心して使える。 新モデルの特徴として、ディスプレイに「Nano-textureディスプレイ」を選択可能になった、という点がある。Nano-textureディスプレイは、いわゆる反射低減技術の1つだ。 非常に微細な表面加工を施して反射を減らすのだが、一般的な低反射ディスプレイに比べ発色の劣化が低いという特徴がある。従来は純正外付けディスプレイの「Studio Display」だけで採用されていたが、5月発売の「iPad Pro」でもオプションとして追加された。 新型MacBook Proの場合、14インチ版と16インチ版のいずれのモデルでもオプションとして選択できる(追加コストは+2万2000円)。 iPad Proでも効果は確かめていたが、MacBook Proでの効果はさらに高い。通常の室内利用ならほとんど反射が気にならないので、端々まで表示がすっきりとして見える。 あえて強く照明を当ててみたが、通常のMacBook Proで使われているディスプレイでははっきりと照明の形がわかるものの、Nano-textureディスプレイではぼんやりとしかわからない。 また、指紋がついても比較的目立ちづらいのもいい。指紋が目立つのは皮脂が光の反射を変えるからなのだが、反射低減がなされた表面だとそれが目立ちづらくなる。 Macは伝統的に、映像の発色・コントラストの良さを重視して光沢型のディスプレイを使ってきた。筆者は発色重視派であり、光沢ディスプレイであることをあまり気にしない。 しかし、Nano-textureディスプレイでの画質と低反射の両立は非常に魅力的だ。PC用の反射防止フィルムなども売られているが、Nano-textureディスプレイでの画質を超えるのは難しいだろう。 一方で、輝度はやはり低下してしまう。 MacBook Proのディスプレイは最高輝度が高く、それに応じて発色も良い。 色の純度や輝度は、Nano-textureディスプレイだとどうしても落ちてしまう。映像の視聴や制作を重視する場合、Nano-textureディスプレイよりも通常のディスプレイが良い。 また、硬い素材(意外かもしれないがティッシュペーパーもそうだ)で拭き取るとNano-textureディスプレイの表面は傷みやすくなる。純正のクロスをはじめとした柔らかい素材で比較的ひんぱんに汚れを拭うのが望ましい。ちょっと扱いにクセがあるのだ。 高価になるし扱いに留意は必要だが、新しいMacBook Proを選ぶ1つの理由として、Nano-textureディスプレイの価値を考慮するのはアリだと考える。