【マレーシア】日系企業が脱炭素取り組み訴求 発電展示会、国内外から350社出展
東南アジアで最大規模の発電・電力関連の展示会「Enlit(エンリット)アジア2024」が、10日までマレーシアの首都クアラルンプールで開催されている。三菱重工業グループの三菱パワーがダイヤモンド(最高位)スポンサーとなり、日系企業が脱炭素化社会の実現に向けた取り組みや製品を訴求。国内外から350社余りが出展している。 三菱重工は、兵庫県高砂市に構える水素の生産・利用の実証試験拠点「高砂水素パーク」の模型などを展示し、ガスタービンの受注など水素とアンモニアを利用した発電関連事業に関する国内外での実績を紹介している。 三菱重工は今年8月、東マレーシアのサラワク州に建設される天然ガスだきガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電所向けにM701F形ガスタービンと蒸気タービンを各1台受注したと発表した。同ガスタービンは水素30%を含む燃料で運転できるようになっている。同社がマレーシアでガスタービンを受注したのは、約20年ぶりとなった。 三菱パワー・マレーシア支店の阪本真人支店長は、「三菱重工は高砂水素パークで実証試験を実施し、『安全・安心』な製品を強みとしている。マレーシアではサラワク州以外での受注も目指していく」と話した。マレーシアは同社にとって重点市場であることから、今回の展示会の最高位スポンサーになることを決定したという。 川崎重工業もマレーシア法人カワサキ・ガス・タービン・アジアを通じ、水素の生産(上流)から消費(下流)までを結ぶサプライチェーン(供給網)「ハイドロジェン・ロード(Hydrogen Road)」に関する技術や製品を紹介。液化水素輸送や発電用タービンなどの水素利用技術のほか、大気中の二酸化炭素(CO2)を回収する「ダイレクト・エア・キャプチャー(DAC)」装置やコージェネレーション(熱電併給)システムを展示している。 川崎重工グループは、水素燃料100%にも対応できるコージェネレーションシステムやガスタービンを有している。マレーシアではサラワク州を中心に水素生産が活発化しており、水素の地産地消が根付けば、商機が見込めるという。 ■1.2万人の来場見込む Enlitアジア2024は、8~10日の日程でクアラルンプールのマレーシア国際貿易・展示センター(MITEC)で開催されている。国内外から350社余りが出展し、3日間で1万2,000人余りの来場が見込まれている。 マレーシア政府からは、エネルギー移行・水資源変革省と科学・技術・革新省が協力している。マレーシア政府は昨年7月、「国家エネルギー移行ロードマップ(行程表、NETR)」を始動。2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにし、再生可能エネルギーが発電燃料に占める比率を70%に引き上げることを目指している。 Enlitは世界中で開かれており、アジア版は「パワージェン(POWERGEN)アジア」の名称で東南アジア主要国で毎年開催されてきた。昨年はインドネシアの首都ジャカルタで開催され、マレーシアでの開催は、新型コロナウイルス感染拡大前の19年以来、5年ぶりとなった。来年は9月9~11日にタイの首都バンコクで開催される予定だ。