美・快適・健康を科学する:ワコール人間科学研究開発センターの挑戦
ワコールのものづくりを支えるワコール人間科学研究開発センターは、女性のからだを「美」「快適」「健康」の視点で研究している。 たとえば、具体的なかたちや数値で表した「ワコールが考える女性美」の研究、新製品のパフォーマンスを正確に測定する計測・評価方法の開発、そして新製品の開発を行っている。 特に注目すべきは、美しさの研究だ。この研究所では、約60年前から多くの女性のからだのデータを収集し、商品開発などに役立てている。 今回は、ワコール人間科学研究開発センターの主席研究員である岸本さんにインタビューを実施した。
女性のからだを深く研究
ーまずは、ワコール人間科学研究開発センターの設立の背景について教えていただけますか? 当社は、主にインナーウェアの製造・販売を主とする企業です。そのものづくりの原点は、女性の体型を知り、その体型に合った下着を提供するところにあります。 一人ひとりの体型は異なりますが、より多くの方にここちよく感じてもらうために、女性の体型データを収集する必要がありました。特にインナーウェアは他の衣類よりもからだに密着するため、からだにジャストフィットすることがポイントとなります。 そのため、ちょうど60年前の1964年に前身となる製品研究部を設置し、毎年1,000人近くの4歳から69歳までの女性の人体計測を行い、延べ45,000人以上のデータを収集してきました。そのデータをもとに、現在もより快適に着用できるインナーウェアの開発に取り組んでいます。 ーワコール人間科学研究開発センターで行われている、人体計測方法について教えていただけますか? 設立当時から世界共通の人体計測法である「マルチン式計測法」を採用しており、過去のデータとの比較や一貫性を保つため、60年間にわたり継続しています。 「マルチン式計測法」にワコール独自の詳細計測を加え、さらにオリジナルの計測装置も開発しながら、女性のからだを深く研究しています。