「ワタミのサブウェイ」成功率は”かぎりなく低い”と言える残念な理由…美味しいのに「日本人にさっぱり流行らない」のはなぜなのか
日本人の性格と絶望的に合わない
かくしてサブウェイを手に入れたワタミ。はたして《勝機》はあるのだろうか。 現状、サブウェイが扱う「サンドイッチ」そのものには追い風が吹いている。市場規模(2023年)こそ123億円と、ハンバーガー(9811億円)やチキン(1776億円)には劣るが、それでも健康志向を背景に、2028年には155億円まで拡大する見込みとなっている。 だがそれでも「ワタミのサブウェイ」が成功する確率はきわめて低いと、永田氏は指摘する。原因はサントリー時代から変わらない、「日本人にさっぱり流行らない」サブウェイのシステムそのものだ。 「メニューから好きなサンドイッチを決め、パンを選び、トッピングを追加し、さらに好みの野菜、ドレッシング・ソースをチョイスする。この一連のオーダーシステムが日本人に合わないことはもはや説明不要でしょう。 日本の外食産業では、ある程度『メニューの大枠』が決まっていることが成功の要因の一つとされています。優柔不断で選ぶのが苦手な日本人にとって、メニューを絞ってあげるほうが性に合うのです。 また、サブウェイが欧米を中心に根強い人気を誇っている理由は、美味しさ以上に、オーダーシステムを通じて《店員とやり取りできる》ことに楽しさを感じているから。この楽しさは、知らない人との気軽な会話を避けがちな日本人には、やはり感じづらいのです」
ワタミの《強み》を生かすとしたら
サブウェイが美味しいのは分かっている。健康志向なのも魅力的。けれど、選ぶことに一度でも煩わしさを感じたが最後、足が遠のいてしまう。まして初めて行くなんて無理。そう感じてしまう日本人が多い以上、サブウェイの日本展開には限界があるのかもしれない。 強いて勝機を挙げるとすれば――それはワタミの《強み》を生かすというやり方だけだ。 「私個人としては、サブウェイにもまだ日本展開を拡大するポテンシャルは大いにあると考えています。そのカギを握るのは、やはり『DX化』ではないでしょうか。ワタミが実現できるかを別にすれば、タッチパネル式のセルフオーダーシステムやスマホのモバイルオーダーなど、これらを上手く活用すれば、道は拓けるかもしれません。 それに加えて、サブウェイと意外にマッチすると思うのが、フードコートへの出店です。これまでの直営店は多くが路面店に偏っていました。ワタミにもノウハウがあるフードコート出店を積極的に行えば、より集客が望めると思います。 ワタミが全国に自前の有機農業の拠点を持っているのも強みです。そこで採れたオーガニックの野菜をメニューとして採用することで、美味しさや健康へのアピールにつながるでしょう」(永田氏) 今年、創業40周年を迎えたワタミ。そこで渡邉会長は「ワタミモデルを世界モデルに。2048年までに、1兆円企業。」とする構想を掲げている。果たしてサブウェイはワタミにとって成長を加速させるエンジンとなるのか。今後の動向を注視したい。 【こちらも読む】『弁当の「上げ底」問題が物議…セブンの生みの親・鈴木敏文氏「僕はまったく関係ない」!商売の神様が「漏らした本音」』
週刊現代(講談社・月曜・金曜発売)