イスラエル、米国人を「意図せず」射殺した可能性が高いと発表
イスラエル軍は現地時間9月10日、米国人アイセヌル・エイギが「間接的かつ意図せず」イスラエル国防軍(IDF)によって撃たれ死亡した可能性が「非常に高い」と発表した。これは、先週ヨルダン川西岸地区で行われた抗議活動中に発生した事件に関する初期調査の結果であり、エイギの家族や米国政府当局者によるイスラエルの対応への批判を受けてのものだ。 初期調査によれば、エイギ(トルコ国籍も所持)はIDFの発砲によって「間接的かつ意図せず」撃たれた可能性が高いとされている。IDFは、発砲が「暴力的な暴動の主導者」を狙ったものであり、エイギが標的ではなかったと述べた。 エイギは国際連帯運動(International Solidarity Movement)のボランティアであり、現地時間9月6日にヨルダン川西岸のベイタで行われたイスラエルの入植地拡大に反対する週次抗議に参加していたところ、IDFによって射殺された。 IDFは、事件が「暴力的な暴動」の中で発生し、数十人がタイヤを燃やし、IDF部隊に向けて石を投げたと主張している。一方、国際連帯運動はこれに反論し、IDF兵士が祈る抗議者に対して催涙ガスと実弾を使用したと述べている。 IDFの報告に対し、米国務長官アントニー・ブリンケンは、IDFがヨルダン川西岸での作戦運用に「根本的な変更」を加えるべきだと語り、抗議に参加していた人が射殺されるのは「受け入れられない」と強調し、「抗議に参加することで誰も殺されるべきではない」と述べた。 イスラエルは検死を要請しており、IDFはエイギの死に対して「深い遺憾の意」を表明した。
遺族は、エイギの死の状況を考えると、「イスラエルの調査は適切ではない」と主張
エイギの遺族は9月7日、エイギはイスラエル軍に撃たれる前は「正義のために平和的に立っていた」との声明を発表した。遺族は、エイギの死の状況を考えると、「イスラエルの調査は適切ではない」と主張している。トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領を含むトルコと米国の複数の当局者は、ベイタの抗議活動に対するイスラエルの対応を非難し、エルドアン大統領はIDFの銃撃を「野蛮な介入」と呼んでいる。米国家安全保障会議の広報担当者であるショーン・サベットは、ホワイトハウスはこの事件に「深く憂慮している」と述べ、米国は調査と詳細な情報の提供を要請したと付け加えた。 エイギはワシントン大学を卒業したばかりで、シアトルで育った。同大学の教授であるアリア・ファニはAP通信に対し、エイギはヨルダン川西岸地区へ渡航する前に親パレスチナの抗議活動に参加したことがあり、ファニ氏はエイギさんに渡航しないよう説得を試みたと語った。 10月にガザ地区を支配するハマス(ヨルダン川西岸地区の一部を管理するパレスチナ自治政府とは別組織)がイスラエルを攻撃して以来、各国際機関は同地域への渡航を控えるよう警告してきた。国連の推計によると、8月21日時点で、10月7日以降、ヨルダン川西岸地区では600人以上が死亡しており、そのほとんどは占領地におけるイスラエル軍と入植者によるものだ。しかし、近年、攻撃以前にも民間人が殺害されており、2022年にはイスラエル軍の作戦を取材中にアルジャジーラ(カタールに本社を置く放送局)のジャーナリストで米国市民のシリーン・アブアクレが射殺されている。IDFは2023年に彼女の死について謝罪している。 2000年以降、ガザで国際連帯運動に参加していた活動家2人が殺害されている。2003年には、米国人のレイチェル・コリーが、パレスチナ人の家を取り壊そうとするIDFのブルドーザーを阻止しようとして圧死したとAP通信が報じている。その1カ月後、英国市民のトム・ハーンドルがIDF兵士に頭を撃たれた。人権団体からの非難にもかかわらず、IDFはコーリーの死を事故と判断し、ハーンドルを殺害した兵士は11年以上の実刑判決を受けた。
Ty Roush