モーター+圧縮空気の噴出も動力! 最高速568km/hのブルガリア製ハイパーカー「アリエノ・ウナム」はガチなのか夢想なのか?
机上の空論で終わらないことを切に願いたいアリエノ・ウナム
ですが、ブルガリアには質素ながらアリエノの工場が建築されているほか、カーボンパーツの製造向けオートクレーブも2基、工業ロボットの導入も報告されるなど「実現に向けて着々と進んでいる」様子もうかがえます。 また、ベールをかぶっていながらも、タイヤがついたベアシャシーも公式動画に映るなど「それっぽい」シーンもあり、一概にインチキともいい難い、というのが現状ではないでしょうか。 こうしたバックグラウンドを無視して、ウナムに投入されるテクノロジーを見ていくと、やはり驚きの連続です。1本のホイールに対し、最大6個のモーターを装備して、それぞれを制御することでよりパワフル、かつ緻密なパワーデリバリーを実現(する予定)とか、コンプレッサーで蓄えられた圧搾空気をダウンフォース&グリップ方向に役立てる、あるいは制動、はたまた路上のごみを吹き飛ばすといったアイディアはたしかに画期的。 もっとも、地上戦に特化したスラスターを装備したモビルスーツ「ドム」は似たようなコンセプトなので、ガンダム好きにはさほど新鮮には思えないかもしれません(笑)。 それでも、ウナムの公式パフォーマンスを鵜吞みにすれば、最高速は568km/hであり、グラフェンLiPoバッテリーの採用によりリチウムイオンバッテリーよりも短時間でフル充電ができ、TRS(The Rocket Successor)と呼ばれる電気と空気による駆動と制御のための高度なアリエノ独自の技術によって予防安全についても万全! ということに。 また、ローンチ時期は早くとも2024年から2027年の間とマージンがもたされているものの、工場の様子を見れば、ギリギリ2027年に1台めができるかなという雰囲気。 いずれにしろ、いうは易しというやつで、実車が設計どおりに動いてくれるかどうかは別問題。ハイパーカーの世界は驚きのパフォーマンスやヘンテコなアイディアがもてはやされ、目立ったモノ勝ちなところも少なくありません。アリエノ・ウナムがそんなインチキマシンでないこと、あるいは机上の空論で終わらないこと、切に願いたいものです。
石橋 寛
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