セフレの「フレ」の部分すらない… マッチングアプリのリアルを描く共感必至の実録マンガ【書評】
現代では、一般的な男女の出会い方として受け入れられつつあるマッチングアプリ。しかし、マッチングアプリの利用者の中には、真剣な交際ではなく「性行為」だけを目的としている人も存在する。 【漫画】本編を読む
『38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみたヤバい結果日記』(松本千秋/幻冬舎)では、38歳の女性がマッチングアプリでさまざまな男性と出会った日々が描かれている。本作は、性行為を主目的として利用されることもあるマッチングアプリのリアルを知ることができる作品だ。自分に価値がないと感じている人や、寂しさを埋めるためにマッチングアプリを利用している人には特におすすめしたい。 主人公のチアキは、38歳のバツイチ独身女性。友人の死をきっかけに、寂しさが振り切れてマッチングアプリを再開する。そのアプリは、婚活や恋活などさまざまな用途がある中でも割り切った関係の性行為を主目的として利用する人が多いことが特徴だった。
チアキのマッチングアプリエピソードの中で特に印象的なのは、18人目に出会ったファッションモデルの「先生」だ。先生は欲に忠実。モデルができるほどスタイルも顔も整っているが、女性の扱いはとにかく淡泊である。さっきまで性的なことをしていたイケメンに「名前なんて覚えても仕方ないもんね」といわれる気持ちを想像してみてほしい。精一杯の強がりで、全く気にしていないフリをしながら「そうだよね」と返事をしてしまいそうになる。
先生との関係は続き、セフレのフレ抜き「セ」になっていく。「セ」だけの関係に価値はあるのかと思いながらも、寂しさを埋めるために肌を重ねるしかない、なんとも虚しい関係性。チアキが感じる心の空白がそのまま自分の心に移ってしまうほど共感できるのが本作の魅力といえる。 チアキが出会った人の中でも、とびきりの虚しさを教えてくれるのが17人目に出会ったSEの男性だ。1度目のデートでは、Wブッキングのために1時間だけで解散していた。そうして迎えた2度目のデート。本当なら外で会うはずだったのに、体調を崩したといって突然家に呼び出されてしまう。