大人はもっと泣くべき。涙を流すメリットと7つの方法
いじめっ子に本心を悟られないように、あるいは重要な会議の場でプロらしく振る舞うために。泣きたい気持ちをぐっとこらえるべき場面は、いくらでもあります。 「人前で泣くと、弱い人間だと思われる」「緊張した場面で表に出すべき感情ではない」そんな先入観を持っている人もいるかもしれません。 ですが、精神的なサポートを得られる安全な場所にいるなら、泣くことは良い効果をもたらしてくれるかもしれません。 泣くことの効果は、あなたが助けを必要としていることをまわりの人たちに知らせるだけではありません。エンドルフィンを放出させ、ストレスを発散させてくれるので、その結果、あなたの気分もよくなるのです。
人間はなぜ泣くのか
激しい感情や肉体的な痛みに襲われたときに、なぜ人間は泣くのでしょうか? 研究者たちは「他者から慰めや支えを引き出すための社会的な信号の役目を果たしている」という意見で一致しています。 ですが、彼らに言わせると、進化論的な観点からこれを研究するのは、とても難しいそうです。なぜなら、泣く動物は人間だけだからです。 ほかの動物も、くんくん鳴いたり、悲鳴を上げたりはします。けれども、顔を歪めて涙を流し、ときには声をあげて泣き、その場にへたり込み体を震わせたりする、いわゆる「泣く」と呼ばれる一連の動作を行なう動物は、人間だけなのです。 一般的に、人間は次の3つのタイプの涙を分泌します。 基礎分泌の涙:目全体の健康のために常に分泌される。 刺激性分泌の涙:有害物を目から洗い流すために分泌される。 情動性分泌の涙:強い感情や痛みが原因で分泌される。
泣くのが良い理由
泣くことは、他者の心に共感や同情をもたらし、その結果、人のつながりを促進させます。先ほども言ったように、これが泣くことの大切さを支持する主な科学的学説です。 泣くことは、あなたが助けを必要としているという信号を発し、その信号を目や耳で受け取った人に助けに駆けつけてもらう確率を高める方法の1つなのです。 ただし、泣くことには、こうした社会的なメリットだけでなく、生理的なメリットもあると広く考えられています。 ある研究から、泣くことは自己鎮静行動の一種である可能性がわかっています。泣くことで、オピオイドやオキシトシンが放出され、それが痛みの緩和につながっている可能性があるのです。 2020年に発表された小規模な研究では、泣くセラピーによって、乳がんサバイバーの情緒と生理機能が改善しました。 『Moving on Doesn’t Mean Letting Go: A Modern Guide to Navigating Loss 』(喪失を生き抜くための現代的なガイド)の著者であるグリーフセラピストのGina Moffa氏によれば、泣くことは、他者から共感を引き出すだけでなく、ストレスや鬱積した感情を発散させるのにも役立つそうです。Moffa氏は次のように言っています。 泣くことには、エンドルフィンを放出させ、精神の落ち着きを生み出すセラピー的な分泌の効果があります。 情動性分泌の涙には、体内の毒素を流し出したり、目をうるおしたり、血圧を下げたりすることで、苦痛の軽減を促す効果があります。 また、まわりの人たちから共感や注意を引き出すという社会的なメリットもあり、安心感や一体感を高めてくれる効果もあるのです。 Moffab氏によると、一定のスケジュールで泣く必要があることを示すエビデンスはないものの、安全な場所、安全な方法で涙が流れるのを許すのは望ましいことだそうです。