「政治とカネ」で国民の怒り爆発 「数の論理」で石破さんは総裁選とは正反対に 話の肖像画 ジャーナリスト・田原総一朗<27>
《27日投開票の総選挙で石破茂首相の自民党は惨敗、政権与党の自・公でも「過半数割れ」の事態となった。何が有権者にソッポを向かれたのか? さぁ田原さん、どう見る》 (政権与党には)非常に厳しい結果になったね。だけど、僕はこうなるんじゃないかと予想はしていましたよ。 敗因は「政治とカネ」の問題。裏金問題です。この問題に対しては、(前政権の)岸田(文雄)首相も石破首相も、厳しく、しっかりと対処します、と言ってたができなかった。 (政治資金収支報告書に不記載があった)いわゆる〝裏金議員〟を当初はすべて公認しようとしていたでしょ。批判を浴びて、(一定の基準以上の)12人を非公認にしたんだけど、今度はそこに2000万円を支給していたことが発覚してしまった。あれで国民の怒りが爆発したね。その結果が今回の自公過半数割れでしょう。 もうひとつの敗因は、石破さんが自民党総裁選中に掲げていたことがまったく実行されないどころか、正反対になってしまったことかな。与野党でしっかり議論をした上で、解散・総選挙をやる、と言っていたのに実際は、たった8日で解散でしょ。言ったことと、やっていることがまるで違う。これじゃあ国民もソッポを向く。 《田原さんは、石破首相とは旧知の仲。「政治とカネ」の問題ではどんな話を?》 「政治とカネ」の問題はもっと透明にしなきゃいけない。裏金のことが問題になったときは雑誌で鼎談(ていだん)もしました。 石破さんは「政治にはどうしてもお金がかかる、だから透明にすべきだ」と言っていたんです。そのことを総理・総裁になっても主張すべきだったが、「数の論理」で言えなくなったのでしょう。 《田原さんは当初、石破さんを「度胸がある」「逃げない」と評価していたが》 石破さんは「安倍(晋三氏)1強時代」でも、恐れず批判をした点が、国民に評価された。そういった面の人気もあって総裁選で勝てたんです。 でも、石破さんはもともと党内の少数派だから、いざ総理・総裁になったら例の「数の論理」で自分のやりたいことができない。押し通そうとすれば、失脚してしまいかねないし、その「度胸」にもいまひとつ欠けていたと思いますね。