浅野忠信の母・順子(73)40代で家族と離れバーや古着屋経営、63歳で画家に「きっかけは60歳で恋に落ちたこと」
結婚して23年、40代に入って子育てを終えた頃、これからの10年を考えた浅野さんは、「そろそろかな」と、家族のもとから飛び立ちました。年齢的には活動的な時期。「やりたいことがいっぱいある」と横浜から東京へ移り住み、バーや古着屋を始めます。 「バーとか古着屋とかお店をいろいろやるんだけど、それなりに流行っていても私が飽きっぽいから3年くらいしか続かない。時間が決まっていたり拘束されるのがダメだし、お金を数えるのも苦手。やっぱり経営には向かないと分かって、お店は譲りました。楽しかったけどね」
その後、50代に入って落ち着いた頃、母親の介護のために現在暮らすマンションを購入。母親との暮らしに専念して数年後、母親を見送りました。
■60歳で出会った芸術家との恋「絵を本格的に描くことを勧められ」 60歳を迎えて人生が熟してきた頃、出会ったのが、ある芸術家。浅野さんが画家になるきっかけを作った人です。 「60歳で恋をしましたね。ミステリアスで佇まいが美しくて、ずっと見ていたい感じの人。彼に本格的に絵を描くことを勧められて、キャンバスに向かうようになったんです。このマンションで10年間一緒に暮らして、彼が地元に戻ることになったタイミングでお別れしましたが、本当に感謝しかない。彼に出会っていなかったら趣味でつまんない絵を描いていたと思うし、夢中になれることを見つけられていなかったかも。いい出会いでしたね」
バー、古着屋、洋服のリメイクと、さまざまな経験を経てたどり着いた、自分らしい、いちばんの楽しみが絵を描くことでした。 ひとりに戻ってからも、浅野さんの創作活動は途切れることなく、ごはんを食べ、掃除や洗濯をするように、今では生活の一部となって続いています。むしろ、自然発生的で溢れ出るように。
■好きが詰まったアトリエが棲家「いくつになっても描けるなぁ」 「これまでの経験とか培ってきたものとかを絵にしているから、とめどない。今でもいろいろ吸収していて、それも絵にできる。いくつになっても描けるなぁって思いますね」