ダルビッシュ有、ファンへの粋なサプライズ 報道後に思わぬ反響も
▽ダルビッシュの記者会見 その3日後。試合会場の高尺スカイドームで開幕戦に向けた記者会見に臨んでいたダルビッシュ投手に、カフェ訪問についての質問が飛んだ。ダルビッシュ投手はさわやかに答えた。 「もともと交流があったんですけど、今回ソウルに行くということで、少しでも顔を見に行きたいなということで行きました。すごく明るい、自分にはないものを持っているご夫婦。会えて良かったです」 これを目にした李さんは「ダルビッシュさんになくて、私たちが持っているものって何だろう」と夫人と話し合ったそうだ。「それが明るさで、ダルビッシュさんが明るい気持ちになってくれたのならうれしい」 3月20日の開幕戦。観戦を諦めていた李さんだったが、何と前日に常連客からチケットを譲ってもらい、球場での応援が実現した。ダルビッシュ投手は大谷翔平選手との2度の勝負で1安打を許したものの、四回途中まで1失点(自責点0)と役割を果たした。
試合はドジャースの逆転勝ち。李さんは「味方のエラーがなければもう少し長く投げられたと思う」と悔しがった。「ピッチクロック(大リーグで導入されている投球間隔の時間制限)は投手には大変なルールですね。気持ちを落ち着かせる時間もない。大谷さんが(ダルビッシュ投手に向けて)帽子を取ったりしていたら1ボールですもんね」。歴史的対決の余韻に浸っていた。 ▽ダルビッシュ来店の噂を聞いて… 話には続きがある。翌21日、店にはある日本人が訪ねてきた。ダルビッシュ投手が通っていた大阪の保育園の園長だという。ダルビッシュさんは当時3歳。母親の陰に隠れるようなシャイな男の子だったと思い出話を聞かせてくれた。22日には、ロイヤルズなどで投手として活躍したジェレミー・ガスリーさんも来店したという。ダルビッシュ来訪の反響は大きかった。 店の外には小学生くらいの男の子が2人、歌を口ずさみながら通りかかった。店内にずらりと飾られたユニホーム(韓国シリーズ前は1枚だった)に気がつくと「Darvish!」と声を張り上げ、ガラスに顔を押し当ててのぞき込んだ。大リーグ開催の足跡は、静かな街角にもしっかりと刻まれていた。