62歳から「時給1200円・1日8時間・週3日」でパート予定です。将来の年金額はどれだけ増えるでしょうか? 3年ではあまり増えませんか?
老後はもはや年金や預貯金のみで生活するのは非常に難しいといっても過言ではありません。そうはいっても元気なうちにできる限り働いて収入を得て、受け取れる年金を増やしたいと考える人は多いのではないでしょうか。 本記事では、現在62歳の人がこれから65歳までの3年間「時給1200円・1日8時間・週3日」のパートをする場合、もらえる年金はいくら増えるのか解説します。
増やせるのは老齢厚生年金
老後にもらえる年金は大きく分けて老齢基礎年金と老齢厚生年金にわかれます。実際は個別の加入状況によって共済年金や個人型確定拠出年金、企業年金等が上乗せされることもありますが、今回は2階建て構造の公的年金にあたる部分のみ考えるものとします。 1階部分の老齢基礎年金は収入規模に関わらず、保険料を満額納付している場合は一律で月額6万6250円(2023年度)を受け取れます。 2階部分として老齢厚生年金があり、会社員などで厚生年金に加入して保険料を負担している人は、老齢基礎年金に上乗せして原則65歳から受け取りが可能です。老齢基礎年金と異なり厚生年金加入時の収入や加入期間などによって将来もらえる年金額が変化するのが特徴です。
3年間パートで稼いだら年金はいくら増える?
老齢厚生年金の受給額は「報酬比例部分」、「経過的加算」、「加給年金額」を合計して求められます。仮に経過的加算や加給年金額がなく年金の繰上げや繰下げ受給の手続きも行わない場合は報酬比例部分をもとに算出され「平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数」の計算方法が適用されます。 「時給1200円・1日8時間・週3日」の条件でパートをする場合、月額月11万5200円の収入を得られる計算です。賃金月額は10万円以上、週の所定労働時間は24時間あり、学生ではないため厚生年金の被保険者となり保険料を負担しなければなりません。 厚生年金保険料は報酬月額の幅によって標準報酬月額が定められており、どの等級に当てはまるのかによって負担金額が変わります。例えば協会けんぽが公表している東京都の「令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」によると、報酬月額が11万5200円の場合は8等級となり、標準報酬月額は11万8000円です。 老齢厚生年金の受給額を計算する際は標準報酬月額と賞与を合算した総額を加入期間で割った平均標準報酬額が使われますが、今回は便宜上標準報酬月額と同額の11万8000円とします。これを報酬比例部分の計算式に当てはめると「11万8000円×5.481/1000×36月(3年間)」となり約2万3283円もらうことができます。 つまり厚生年金に加入できる「時給1200円・1日8時間・週3日」のパートを3年間続けると、将来もらえる年金は月単位で約2000円増えることが分かります。