『降り積もれ孤独な死よ』原作との違いは? 残された謎と最終話の結末を大予想
陽子(長谷川京子)と事件の関連性は?
この違いはドラマの展開にも影響している。ドラマ前半では、冴木と蒼佑の兄弟が虐待の連鎖を断ち切ることに主眼が置かれており、灰川と鈴木の血のつながりがもたらす悲劇も描かれていた。血の呪いを取り上げながらも、ドラマ後半は「家族」をキーワードに灰川邸で生き残った6人の関係性に光を当てるものとなっている。テレビという媒体の特性を考慮したと思われるが、原作者の了承を得た上でオリジナルのテーマを翻案し、連続ドラマのフォーマットに落とし込んでいる。 さて、気になるドラマの結末だが、正直言ってまったく予測がつかないというのが本音だ。第9話ラストで消息不明の健流(杢代和人)の母・陽子(長谷川京子)と事件との関連性を匂わせたものの、そもそも動機がよくわからない。陽子と灰川の関係性がポイントになりそうだが、二人に接点はあったのか。取調べで五味(黒木メイサ)に「お前たちは何もわかっていない」と発した涼は何を知っているだろうか。会話でしか登場していない健流の弟の現況も気がかりだ。6人のうち健在なのは弁護士の悟(松本怜生)と花音だが、目立たなかった悟が最後の最後で大仕事をやってのけるのか。灰川邸に陽子を呼び出した花音は何を語るだろうか。 ドラマ版『降り積もれ孤独な死よ』は最終話まで謎を隠しながら、巧みに視聴者の関心を引きつけており、ミステリー・サスペンスの成功作と言えるだろう。最後にあっと驚くどんでん返しを期待したい。
石河コウヘイ