「使わない避妊具を配るなど、発展途上国へのアクションは、たいてい的が外れている」銅冶勇人氏が語る【アフリカの現状と支援の本質】
「“発展途上国への支援”といって募金をするが、たいていは的が外れている…」そう語るのは、2015年にアパレルブランド「CLOUDY」を立ち上げた銅冶勇人さん。 【動画】見たらきっとほしくなる…プレゼントに喜ばれる「アートハンカチ」 大学時代に訪れた、アフリカのスラム街の現状に衝撃を受けた銅冶さんは、2010年にNPO法人「CLOUDY」を立ち上げ、アフリカでの支援を開始。2015年にはアパレルブランド「CLOUDY」を設立し、雇用創出を目的とした自社工場をガーナとケニアで運営。アフリカ伝統の生地や素材を使用した最先端ファッションを展開している。 アパレル(営利事業)とNPO(非営利)の両輪を走らせ、循環型ビジネスとして確立。アフリカの雇用や教育などの活動に還元している。
「ゴールドマン・サックス証券」のエリートビジネスマンからアフリカ支援へ…。 銅冶さんの経歴を紐解くと、まず浮かび上がってくるのが両親の存在だ。「誰かのために何かをしたいのなら、自分でそれを作り出しなさい」というのが、銅冶家の教えの一つだった。 「両親の影響は大きかったと思います。一つ一つのアクションに対しての意義、ストーリーを考えながら僕たち兄弟を育ててくれました。小学校で行われる募金一つにしても、ただ保護者が子どもに持たせて先生に渡すのではなく、自分たちでそのお金をどう作り出すかを一緒に考えてくれる。どんな場面でも“自分ごと”に置き換えられるようなステージを用意してくれていたのかなと思います。 よくいろいろなところでお話ししますが、食べてもいないのにおいしくないと判断するな、やったこともないのにやりたくないと言うな、やったからには覚悟を持ってやれと、両親から言われて育ちました。“まずはやってみること”の大切さを教えてくれたんですよね。それが、大学時代にアフリカに行くというチャレンジにつながったのではないかと思います」
僕らが感じている問題と、現地で掲げられている問題というのは圧倒的なギャップがある
大学の卒業旅行でアフリカ・ケニアに渡り、スラム街の現状に衝撃を受けた銅冶さん。その後は世界を知るため、「ゴールドマン・サックス証券」に入社。3年目で、アフリカを支援するNPO法人「CLOUDY」を設立した。そこにはどんな思いがあったのか。 「当時の僕にとって、スラム街の光景はとてもショッキングなもので、ゴールドマン・サックス入社以降も、毎年9日間の休みを使って、アフリカへと足を運びました。次第に“ここで何かをつくっていきたい、自分ができることは何なんだろう”という思いが高まっていき、もっと本質の問題に触れたいと考えるようになった。すでに日本を含め、発展途上国に対するアクションに対して大きな違和感を抱いていました。学校を作るのになぜ続かないのか、洋服をたくさん寄付しているけど、めちゃくちゃ捨てられている…捨てるから、また環境破壊になるんだよなとか。 ある時、日本から送られてきている服を見せてもらったら、ゴミみたいなバッグや穴が開いた服ばかり。多くの日本人が“アフリカの人は何でも着るでしょ”と思いこんでいるんですよ。メディアで流れる映像のイメージが強いので、そういう感覚に陥ってしまう。一方、アフリカの人たちからしたら、“私たちだって洋服を選ぶ権利があるのよ“と。社会課題をとらえきれていないアクションに違和感を持っていたので、”本当に必要なことって何だろう“と追求したくなったんです」