木材活用した新国立競技場デザイン 東京・多摩産材の使用は進むか
木材が消費されないと植え替え進まず
また、昨今は花粉の少ないスギの木も開発されています。花粉症対策として古いスギを伐採して、花粉の少ないスギ植え替える計画も立てられていますが、木が伐採されないので思うようには進んでいません。森林の更新することは治山・治水だけではなく、私たちの健康対策にもつながっているのです。 「森林伐採が定期的に行われるためにも、国内産の木材が消費されなければなりません。東京都は知事会見室の演台や知事特別応接室のソファ、テーブルなどを多摩産材製のものにして、少しでも多摩産材の製品をアピールしています」(同) 東京都は都内にある公園のベンチや遊具などでも多摩産材を積極的に使用するようになってきています。また、「木とのふれあい推進事業」として、都内の小学校や保育園などの内装でも木質化に取り組んでいます。それでも、まだ多摩産材がたくさん使われているとは言い難い状況です。
新国立競技場に多摩産材が使われる?
それだけに、木がたくさん使われることが想定される新国立競技場案は開催都市・東京の多摩産材をアピールする絶好のチャンスといえます。 しかし、国立競技場に多摩産材が使われるには、クリアしなければならない課題があります。オリンピックの競技場などで使われる木材は、森林管理協議会から国際認証を受けなければならないのです。多摩産材は、国際認証を取得していません。 「東京都は今年度中に計画書を作成し、来年中には多摩産材が国際認証を受けられるように、準備を進めています。国立競技場に少しでも多摩産材が使われることになれば、東京の林業が活性化するでしょう。そのためにも、多摩建材の国際認証の取得を急がなければなりません」(同) 新国立競技場案には、東京の林業が元気を取り戻すといった意味でも大きな期待が寄せられているのです。 (小川裕夫=フリーランスライター)