イチローは異例引退会見で何を語ったか(最終)「メジャーは頭を使わなくてもいい野球になりつつある」
イチローが21日の深夜に1時間23分にわたって行った異例の引退会見の質疑応答の最終回。 ――愛してきた野球の魅力とは? 今年からはイチロー選手が出ないメジャーのどこを楽しめばいいか? 「団体競技なんだけど個人競技だというのが野球のおもしろいところ。チームが勝てばそれでいいか、というと、全然、そんなことはない。個人としても結果を残さないと生きていくことはできない。その厳しさが魅力。同じ瞬間がない。必ず、どの瞬間も違う。だから飽きがこない。 どう楽しめばいいか? 2001年にアメリカにきてから2019年現在の野球は、まったく違う野球になった。頭を使わなくてもできてしまう野球になりつつある。現場にいる選手はみんな感じている。これが、今後、どう変化するか。次の5年、10年、しばらく流れは止まらないと思う。本来は、野球というのは、頭を使わないとできないスポーツなのに、そうでなくなってきているのが、どうも気持ち悪い。 危機感を持っている人は結構いると思う。日本の野球がアメリカに追従する必要はまったくない。日本は頭を使うおもしろい野球であって欲しい。アメリカの流れは、止まらないと思うので、せめて日本の野球は変わってはいけないところ、大切にしなくていけないものは大切にしてもらいたいと思う」 ――成功した。 「成功かどうかよくわからない。どこからが、成功でそうじゃないかは、僕には判断できない。成功という言葉は嫌い。メジャーに挑戦するということは、大変な勇気だと思うが、成功すると思うからやってみたい、それができないと思うからいかない、そういう判断基準では、後悔を生むだろう。やりたいならばやってみればいい。できると思うから挑戦するんじゃなく、やりたいと思えば挑戦すればいい。どんな結果でも後悔はないと思う」 ――何を得たか? 「こんなものかなあという感覚。200本をもっと打ちたかったしできると思った。1年目にチームは116勝して、その次の2年間も93勝して、勝つことは、そんなに難しいことじゃないなあと3年間は思っていたが、勝利するのは大変。この感覚を得たことは大きいかもしれない」