【2024 スーパーバイク世界選手権 最終戦】ラズガットリオグルが自身2度目のタイトル獲得!
2024年10月18日から20日にかけてスペインのヘレスサーキット・アンヘル・ニエトでスーパーバイク世界選手権第12戦が行われた。BMW移籍初年度のトプラク・ラズガットリオグル(ROKiT BMW Motorrad WorldSBK Team)とルーキーのニッコロ・ブレガ(Aruba.it Racing – Ducati)によるタイトル争いは最終戦にまでもつれ込んだ。どちらにしろ歴史が動く瞬間には変わりないフィナーレだけに熱狂の地ヘレスには多くのファンが足を運んだ。 【写真はこちら】スーパーバイク世界選手権 最終戦で活躍したライダーたちの雄姿 ●ラズガットリオグルがBMWとともにタイトル獲得 土曜日のレース1に先駆けて行われたスーパーポールではブレガが速さを見せポールポジションを獲得。ラズガットリオグルが2番グリッド、3番グリッドにはアレックス・ロウズ(Kawasaki Racing Team WorldSBK)がつけた。 また、今大会にはTeam HRCから長島哲太が参戦。開発を目的とした実践でのテストとなる長島は20番グリッドからレースに挑む。 気温24度、路面温度30度のドライコンディションの中、20周のレース1がスタート。ブレガ、ラズガットリオグルが順当にスタートを切る中、ロウズがスタートを出遅れ、ターン2ではダニーロ・ペトルッチ(Barni Spark Racing Team)と接触するなどし後退。ロウズに代わりアンドレア・ロカテッリ(Pata Prometeon Yamaha)が3位に浮上した。 早くもトップ2が抜け出す中、先頭のブレガはラズガットリオグルとの差も拡げにかかる。一方、ブレガのチームメイトであるアルバロ・バウティスタ(Aruba.it Racing – Ducati)がバックストレートエンドのターン6で単独の転倒を喫してしまった。バウティスタはコースに復帰するも予選から流れが悪く苦戦を強いられる格好となった。 ヘレスでは初日から好調のブレガはラズガットリオグルとの差を拡げ独走。残り8周の時点ですでに3秒近いリードを築いていた。一方、ブレガの結果に関係なく3位以内でゴールすればタイトルが決まるラズガットリオグルはブレガを追うことなく2位をキープ。チャンピオンへのカウントダウンが始まっていく。 復調の兆しを見せているホンダ勢はイケル・レクオーナ(Team HRC)がロカテッリ、ロウズと3位争いを展開。終盤になると3位集団は等間隔のギャップができるも、ホンダ勢はコンスタントにトップ5に入るポテンシャルを身につけたといえる。 レースは独走したブレガが優勝、そしてラズガットリオグルが2位に入り2024年シーズンのワールドチャンピオンを決めた。 ラズガットリオグルは2020年にヤマハのワークスチーム入りすると2021年には自身初のチャンピオンを獲得。翌2022年には惜しくも連覇とはならず、2023年限りでヤマハを離脱しBMWワークスへの移籍を決意した。 苦戦が予想される中、移籍後わずか2戦目で優勝を挙げ、第3戦オランダラウンドのレース2からは13連勝とシリーズを席巻。第8戦では思わぬ怪我で2ラウンド6レースを欠場するも、強さが衰えずことはなく、今大会で3年ぶり2度目のタイトル獲得となった。 また、このレースではドゥカティがマニファクチャラータイトルを確定させている。 ●ラズガットリオグルが優勝しタイトルに華を添える 日曜日の午前中に行われたスーパーポール・レースではブレガが連勝、ラズガットリオグルが2位、ロウズが3位に入った。 そしてメインレースとなるレース2も快晴に恵まれ、気温25度、路面温度30度のドライコンディションの中、今シーズン最後のレースがスタートした。 ブレガがホールショットを奪いラズガットリオグル、ロカテッリが続く。週末を通して首位の座を譲らなかったブレガだが、ラジガットリオグルが序盤から猛追。ラズガットリオグルは3周目のターン1の飛び込みでブレガのインをつきトップに躍り出た。 その後方ではマイケル・ファン・デル・マーク(ROKiT BMW Motorrad WorldSBK Team)がロウズを攻略し4位に浮上。翌周には3位のロカテッリをもパスし、表彰台圏内に上がってきた。 ロカテッリとロウズがバトルを繰り広げている隙にアンドレア・イアンノーネ(Team GoEleven)やペトルッチも3位争いに加わり、4位争いは数台による接近戦が繰り広げられた。 レース中盤になると3位のファン・デル・マークに4位のイアンノーネが追いつきアタック。10周目のターン13で仕掛けるも軽く接触し、ファン・デル・マークは3位をキープするも、イアンノーネは6位まで後退してしまった。 その後方では追い上げを見せていたバウティスタが転倒。ランキングでは3位と上位につけたものの、今シーズンを象徴するような結末になってしまった。 チームメイトで自身初のハットトリックを狙うブレガはラズガットリオグルとのギャップを再び詰め背後につける。しかし、残り5周を切った時点でラズガットリオグルがさらにペースを上げてブレガに隙を与えない。 そして残り4周のホームストレートでフィリップ・エッテル(GMT94 Yamaha)のマシンから白煙が吹き出しコース脇にマシンを止める事態に。このエッテルのマシントラブルにより赤旗が掲示された。これによりレースは成立しラズガットリオグルの18勝目が決まり自身のタイトル獲得に華を添えた。 ブレガは3連勝とはならず悔しい2位、そして3位にはファン・デル・マークが入りBMWがダブル表彰台を獲得。長島は17位でフィニッシュするも、レース1では15位でポイントを獲得している。 激動の2024年シーズンも今大会で終了。BMWの躍進、ルーキーの活躍、伏兵の初優勝など近年稀に見る見どころの多いシーズンだった。来季はビモータの参戦やホンダの復活の期待も高まりつつあり、今季以上に多くのマニファクチャラーによるタイトル争いが予想される。 2024年シーズンは終わったばかりだが、翌週には来年に向けての合同テストが行われる。2025年2月23日から25日にかけてフィリップアイランドで行われる開幕戦は一体どんなレースが展開されるのか、オフシーズンのテストから注目だ。
河村大志