《進化する睡眠の常識》「眠れなくてもベッドで体を休ませる」「二度寝は足りない睡眠時間を補うもの」は間違いだった?医師が解説
【3】「二度寝は足りない 睡眠時間を補うもの」→「二度寝は百害あって一利なし」
「早めに目が覚めてしまい、睡眠時間が足りない気もするしまだ眠いからもう一回寝よう……」──この習慣があなたの体を蝕んでいるかもしれない。一般社団法人日本ショートスリーパー育成協会理事長の堀大輔さんは二度寝には大きな弊害があると言う。 「目覚ましや物音に反応して起きてしまい、また眠るという判断には頭を使います。これを繰り返すことで思考能力の低下が発生し、認知機能が極端に下がる。また、目覚めと同時に血糖値が上がるのですが、そこでもう一度寝てしまうと血糖値を上げるための栄養が摂れず筋肉から栄養が取られ太りやすくなる。 さらに、起床後にはストレスを抑えるステロイドホルモンが分泌されますが、二度寝してしまうと体が“出しても使われない”と判断して出さなくなり、ストレス耐性が弱くなってしまうのです。そればかりかステロイドホルモンには抗アレルギー作用があるので、これが出なくなると感染症に罹りやすくなる。二度寝の常習化はメンタル面も低下ささせますから、一度起きたらそのまま起きることがいちばんです」
【4】「睡眠の目的は体を休めること」→「寝ている間に脳を冷やし休ませる」
ぐっすり眠れることにより得られるのは「体の疲れがとれる」ことだけではない。 「よい睡眠のために重要なのが脳を冷却すること。活動している間は交感神経が高まり体も脳も熱をもちます。眠りの質を高めることで、自律神経が整い血圧を下げるなどの健康効果が期待されます」(吉池さん) 睡眠は脳の“掃除”もしてくれる。 「睡眠中に脳は老廃物を排出し、アルツハイマー型認知症の原因とされるアミロイドβも洗い流すといわれている。すなわち睡眠の質が低下すると認知症のリスクが高まることが指摘されているのです」(下浦さん) ◆睡眠中の脳の主な働き
【5】「寝だめは意味がなく不健康になる」→「睡眠不足の“取り戻し”に効果あり」
休みの日にまとめて眠る「寝だめ」は、体内時計を狂わせかえって健康を損なうなどのデメリットが指摘されてきた。 「働く世代は知らず知らずのうちに寝不足になっているので、休みの日に1時間ほど寝だめすることが効果的だというデータがあります。ただし2時間以上の寝だめは厳禁です」(吉池さん)