<高校サッカー>ベスト4対決 注目は前橋育英のオヤジ監督!
「褒めて伸ばす」教育が尊ばれる環境で育ってきたのが、今の選手たち。特に関東はその傾向が強い地域だろう。そんな場所で山田監督が陣取るのは、「オヤジ」のポジション。常に厳しく接し、叱りつけて、距離も取る。教科書に書いてあるのとは違う姿勢かもしれない。だが、「今はもう去年のチームと戦っても負ける気はしないですね」と、渡邊がギラギラと語る様を見ると、その効用を強く感じる。この「強さ」は、オヤジに押さえ付けられたからこそ湧いてきた何かがあってこそ。 準決勝の対戦相手である流通経済大付属柏(千葉)にも、今大会最年長(67歳)となる本田裕一郎監督という、紛れもない「オヤジ」がいる。流経の選手もまた、このオヤジに対しての反発を糧にして力を付けてきた。どちらの「オヤジ」も、選手側に反抗心が宿ることは承知しているので、変ないやらしさはない。共に出しているメッセージは、「文句があるならプレーで出せ」ということ。その関係性は「今風」ではないかもしれないが、独特の熱量がある。 そういえば、交通事故で療養中の星稜(石川)・河崎護監督もちょっとタイプは違うものの、その位置取りは明らかに「オヤジ」。新鋭校や若い指揮官の高校の台頭が目立っていた高校選手権において、「オヤジ」の作り上げたチームが4強中3つまでを占めたのもちょっと興味深い。 そんな四強戦に、初めて足を踏み入れる日大藤沢(神奈川)の佐藤輝勝監督(36歳)がどんな采配を見せてくれるのかのも、また面白そうだ。もっとも、佐藤監督の指導における「温度」の高さと、選手に対して裸で真っ向からぶつかっていく姿勢を見ると、「オヤジ」としての資質は十分。埼スタ決戦となった今大会は、台風の目となった次代の「オヤジ」にも注目してみたい。 (文責・川端暁彦/スポーツライター)