エンジン始動上手なやり方は!? キックスタートのメリットとデメリットとは?
デメリットも許せてしまうキックスタートバイクならではの魅力がある
バイクのエンジンを始動させるには動力が必要です。セルスターターの場合、バッテリーの電気の力でモーターを回転させ、その動力でエンジンを始動させる一方で、人がキックペダルを踏み込む力を利用してエンジンを始動させるのが「キックスタート」です。 【画像】キックスタートのメリットとデメリットを画像で見る(10枚)
キックスタートの一般的な手順は、以下の通りです。 まず、キーをOFFの状態でキックペダルを踏み込みます。すると、ある個所から固くて踏み下ろせなくなります。これは、シリンダー内の圧縮空気が大きな抵抗となっているためなので、シリンダーから圧縮空気を抜く必要があります。 このシリンダー内の圧縮空気を抜くことを「デコンプレッション(減圧)」と言い、この作業をおこなうため、400ccクラス以上のバイクには「デコンプレバー」が備わっていました。また、これらを自動的におこなう「オートデコンプ」が搭載されているモデルもあります。 そしてデコンプレバーを引いた状態でキックペダルを踏み込んでいき、ピストンをもっとも高い位置「圧縮上死点」まで持っていきます。この状態からでないと、エンジンはかかりにくいためです。SRの場合は、上死点を確認できるキックインジケーターが付いています。 ピストンが上死点まできたらデコンプレバーを離し、キーをONにします。そしてキックペダルを踏み込みやすい高さに戻し、思い切り踏み込むとエンジンがかかります。 夜にインジケーターが見えない場合や、そもそもインジケーターがないバイクもありますが、その場合は感覚やコツを掴んでいくしかありません。
キックペダルをゆっくり踏み込み、もっとも重くなるポイントを探し、そこからさらにゆっくりと踏み込んでいき今度は軽くなるポイントを探します。その軽くなる少し手間が上死点です。 このように、セルボタンひとつで、エンジンを始動できるセルスターターのバイクとは異なり、キックスターターのバイクは手間が多く、慣れやコツ、感覚などを要します。 そのため、キックスタートでエンジンを始動させることは、「バイクを目覚めさせる儀式のよう」、「自分がエンジンの一部になったみたい」と喜びを感じる人が多く、一度キックスターターのバイクの魅力にハマってしまうと、抜け出せないというライダーも少なりありません。また、目にする人も「いかにも玄人っぽくてかっこいい」、「憧れる」と捉える人が多いようです。 かつてはヤマハの「SR400」やホンダ「CB400SS」、カワサキの「W650」など、キックスタートのバイクが多くラインナップしていました。しかし、現在それらはすべて中古でしか購入することはできません。