新宿駅前の路上ライブで書類送検されたアイドルは過去にも。意外と知らない「路上ライブと法律の関係」
先日、アイドルグループ「CiON」が新宿駅前で路上ライブを行ったことに対して、道路交通法違反(道路不正使用)で新宿警察署がメンバーらを書類送検したというニュースがありました。 CiONはメジャーデビュー直前でしたが、この書類送検を受けて、現在まで活動を自粛しています(書類送検とは、検察官に起訴・不起訴の決定を求める手続きをいい、起訴されると刑事裁判になりますが、CiONは11月29日付で不起訴処分となっています)。 路上ライブの歴史は古く、ゆずやコブクロといった路上ライブ出身の人気ミュージシャンも多数おります。そのため、音楽の一つのジャンルといって差し支えないほどに音楽界に定着しているので、路上ライブによってアイドルグループのメンバーが書類送検されたというニュースに驚いた人もいるでしょう。 しかし、こうした路上ライブによる書類送検は今回が初めてではなく、実はかつて新宿駅前の路上ライブで同様に書類送検されたアイドルグループもいました。 そもそも路上ライブは“違法”なのでしょうか。
◆路上ライブの違法性
結論から言うと、全ての路上ライブが違法というわけではありません。 道路に人が集まり交通に著しい悪影響を及ぼすような路上ライブを、道路を管轄する警察署の許可を得ずに行う場合に、道路交通法違反となります(道路交通法77条1項4号)。裏返すと、法律上は、交通に著しい悪影響を及ぼさないのであれば警察署の許可は不要であり、違法ではないということになります。 都内の主要な駅前での路上ライブは、この「道路に人が集まり交通に著しい悪影響を及ぼす」ことに該当し得るため、道路使用許可を得ずに行えば違法となってしまう可能性が高いのです。 では、人が集まらないような所であれば路上ライブができるのかといえばそうともいえず、あまり人がいないような場所で路上ライブをやっていたとしても、現実としては、警察に見つかれば大体注意をされて中断せざるを得なくなる場合がほとんどです。 なお、警察官からやめるように注意されているにもかかわらず、路上ライブにより大きな音を出し続けると、交通への影響の有無を問わずに軽犯罪法1条14号違反(公務員の制止をきかずに楽器等の音により近隣に迷惑をかける行為)として罰せられる可能性があります。 では、道路使用許可を取れば合法的に路上ライブができるのでしょうか。