この秋に「超低速メガ台風」が次々と襲来!? 列島大混乱の"迷走"台風10号は序章に過ぎなかったのか?
台風10号は、九州や四国から離れた東海、関東地域でも大雨を降らせました。それはなぜなのか? 「台風は反時計回りの回転をしています。ですから、台風の右側は南からの風が入ってきます。台風が九州にいるときは、東海や関東地方は台風の右側にあたるので、南にある太平洋から雨の原料となる暖かく湿った空気がどんどん流れ込んできます。 一方で、日本の東には高気圧がありました。高気圧は時計回りの回転をするので、同じように太平洋から湿った空気が流れ込みやすい状況でした。さらに、台風10号の速度が遅かったことで、南から湿った空気が流れ込む状況がずっと続いてしまいました。そのために東海や関東で大雨が降り続いたのです」 こうした気象状況や気圧配置は、いつ頃まで続くのか? 「太平洋高気圧の張り出しが例年より強いのは、10月頃までと予想されています。実は台風は9月、10月だけでなく、11月や12月にも発生しています。しかし、この頃は太平洋高気圧の張り出しが弱まっているので、秋の台風は日本列島の東側を通ることが多いんです。 ところが10月になっても太平洋高気圧の張り出しが強ければ、例えば台風が九州や四国に向かってくることも考えられます。すると、10月くらいまでは日本に大きな被害を与える台風がやって来るかもしれません」 今年は10月まで、台風10号と同じような最強クラスの超低速台風が日本に来る可能性が十分にあるのだ。 ■ラニーニャ現象が台風接近を増やす! 一方で「今後、台風10号クラスが普通になる」というのは、三重大学気象・気候ダイナミクス研究室の立花義裕教授だ。 「まず『日本近海の海面水温の異常な上昇』。そして、偏西風が日本を避けるように北に流れる『偏西風のスーパー大蛇行』。さらに、本来なら房総半島から太平洋に抜けていく暖かい黒潮が、房総半島から北上して東北を通り北海道沖まで流れる『黒潮のジャイアント蛇行』という"猛暑3点セット"が現在でも継続していることがポイントです。 猛暑で日本近海の海面水温が高いため、日本に近づく台風の勢力は弱まらないばかりか、強まることすらある。そして、偏西風が北にあるため、台風は進む方向が定まらずノロノロ・ウロウロする。猛暑であればあるほど、台風の動きは遅くなるんです。猛暑が台風の強化や低速化につながっているんです。 また、今回は九州に上陸しましたが、これが関東に近づいた場合、黒潮の影響を受けてさらに勢力が強まる可能性もあります。