【南井克巳元調教師 豪腕の視点】アドマイヤズームは申し分ない騎乗 勝ち馬の上がりに他馬お手上げ
「朝日杯FS・G1」(15日、京都) 5番人気のアドマイヤズームが直線で鮮やかに抜け出し、未勝利戦から連勝でG1を制した。川田将雅騎手(39)=栗東・フリー=は昨年のジャンタルマンタルから2年連続で同レース最多タイ4勝目。友道康夫調教師(61)=栗東=は21年ドウデュース以来3勝目。2着に2番人気のミュージアムマイル、3着に9番人気のランスオブカオスが入った。1番人気のアルテヴェローチェは5着だった。 ◇ ◇ 2歳戦とはいえ、マイル戦にしてはゆったりとしたペースになりましたね。こうなると前に行っている馬が有利です。勝ったアドマイヤズームはゲートも良かったし、いい位置を取って、勝負どころもスッと馬場のいい外に出して非常にスムーズな競馬でした。前で進めた勝ち馬にあの上がり(3F33秒6)を使われたら、他の馬はどうしようもない。強かったですね。川田君もペースがそんなに速くないと分かっていたんでしょう。申し分のない騎乗でした。 2着のミュージアムマイルはゲートは良くなかったのですが、ジョッキーが一瞬で判断して前に行きましたよね。そのまま後ろから行っていたのでは、きょうの流れでは前に来られません。あの辺の判断はさすがです。 3着のランスオブカオスは今月に新馬を勝ったばかりでしたが、最後はしっかりと伸びてきました。吉村君は初めてのG1でしたが思い切った競馬をしていましたね。上位3頭には京都でのレース経験がありました。今年はかなり長い開催で、馬場も荒れています。そのあたりの適性の差も出たのかもしれません。 人気のアルテヴェローチェはスタートは悪くなかったのですが、少しずつ位置取りが下がる形に。(武)豊君も大事に乗り過ぎたのかな。もったいない競馬になりました。力はあると思うので、また改めて期待したいと思います。(元JRA調教師)