マクラーレン「750S」の登場で影が薄くなった「720S」は「今が買い時!」新車同然のガルフカラーがお買い得な5425万円で落札されました
エクステリアはマクラーレンF1のデザインを踏襲
720Sの概要を知った後で、改めてそのデザインを見る。マクラーレン720Sは、ツインヒンジのバタフライドアを採用し、「マクラーレンF1」のデザインを踏襲している。ヘッドライトにはエアベントが隠されており、流入した空気をホイール前方の2つの小型ラジエーターに導く。 ドアには、エンジンに空気を送るエアチャンネルが設けられ、リアには、マクラーレンP1に似た細いLEDテールライトと、2本の丸いエキゾーストパイプが備わっている。デザインはホオジロザメにインスパイアされたもので、ティアドロップ型のコクピットが特徴である。エクステリアのすべての造形は、650Sよりもダウンフォースを50%向上させることにつながっている。その効果は、たしかに走りの中で驚くべき安定性となって感じられるのだ。 2018年にはRHT(リトラクタブル・ハード・トップ)を採用した「スパイダー」を追加したほか、2020年には究極の限定車ともいえる、さらにサーキット走行にフォーカスした「765LT」を追加するなど、限定車、特別仕様車でも華々しいラインアップを作りあげた720S。その市場は現在では、これもまた画期的な進化を遂げた「750S」に譲られていることは周知のとおりである。 今回RMサザビーズがカナダのオンタリオで開催したオークション、「デア・トゥー・ドリーム・コレクション」に出品された720Sは、走行距離がわずかに1999kmというミントコンディションの1台。同社はエスティメート(落札予想価格)に、35万~40万ドル(邦貨換算約6000万円~6272万)を提示したが、落札価格はその下限に近い34万6000ドル(邦貨換算約5425万円)という結果だった。750Sのデビューが裏目に出たのか、あるいはこのあたりが720Sの底値なのか。さまざまな疑問を残したオークションだった。
山崎元裕(YAMAZAKI Motohiro)