気鋭の建築家が、マイホームに「サウナ」導入をオススメするワケ。簡単に「ととのう」導線を設計する
---------- 人生でいちばん高価な買い物、マイホームをせっかく建てたのに、「こんなはずじゃなかった」と後悔する人があまりに多いのはなぜなのか? 気鋭の建築家・内山里江氏は言います。 「日本人が家づくりに失敗する最大の理由は、たとえば『家は南向きじゃなきゃダメ』とか『窓は大きいほうがいい』といった『間違った常識』によるものです。私は本書でそうした間違った常識をすべてひっくり返します」 内山氏の最新刊『家は南向きじゃなくていい』から、間違いだらけの家づくりをしないための方法を連載形式でお届けします。 前編記事<えっ! そんな値段で!? 自宅「サウナ」は意外とコスパよく入れられる! と気鋭の建築家が絶賛> ---------- えっ! そんな値段で!? 自宅「サウナ」は意外とコスパよく入れられる
ととのうための動線が重要
なお、サウナのあるおうちを設計するにあたって大事なのは「ととのうための環境をつくること」です。サウナに入った後は水風呂に入ったり、体を休ませたりする必要があります。このサイクルがあるからこそ「ととのう」のです。 そのためにはサウナそのものをドンとつくればいいわけではなく、水風呂に入るための動線や、その後に体を休ませるスペースとそこへの動線をつくり込むことが重要です。このようなサイクル環境は室内あるいは室外(テラス)のみで完結させることもあれば、室内とテラスとのつながりのなかでつくることもあります。 いずれにしろ、うまく動線をつなげ、空間がそれぞれ作用し合うような環境をつくらなければ、せっかくサウナがあってもあまり利用しないことになりかねません。また、サウナに入るには裸でウロウロせざるをえませんから、周囲からの視線や家族への配慮といったことも動線を考えるうえで重要です。
サウナを軸に家づくりをすることも
サウナが大好きな建て主のために、サウナを楽しむ生活を軸にした家づくりをしたこともあります。こちらの図がそれで、西日本の県で造成団地の一画に建てたおうちです。玄関から地続きの長い土間とつながった階段で2階へ上がれるようになっており、2階にはご主人の書斎(ワークスペース)の1部屋のみ。あとはすべてテラスに面積を割いており、一角にはサウナとジャグジーもあります。 サウナ室内でのショートタイムのコミュニケーションは、仕事のよいアイデアが生まれやすいといいます。ご主人は仕事仲間を2階に招き、サウナやジャグジーを楽しむ計画を立てたのです。 1階はリビングや、寝室、子ども部屋、キッチン、ファミリークローゼット、浴室、洗面所、トイレなどの水まわりがまとまった、家族のスペースになっています。来客はファミリースペースを通ることなく、玄関と土間続きの階段から2階へ行くことができます。トイレは1階にありますが、ファミリースペースと仕切られているため、来客中も家族が煩わされることはありません。 2階をフルに使った、ご主人が仲間とともにととのうための空間でさまざまな発見とクリエイティブなアイデアが生まれることを願い、このおうちのコンセプトを「Discovery」としたことも付け加えておきます。
内山 里江(一級建築士 株式会社コモドデザイン代表)