神童の自分が、引きこもりに… 山田ルイ53世が抜け出せなかった「過剰なルーティン」の正体
やめたくてもやめられない。勉強までの過剰なルーティン
実は、夏休みの宿題に手を付けられなかったのには、理由がありました。決してやる気がなかったわけではなく、正確には「やろうとしたけれど勉強までたどり着かなかった」のです。 「当時、勉強を始める前のルーティンがあったんです。最初は机を片付ける、部屋を掃除する程度で、中学受験の時はこうしたルーティンをきちんとこなすことがプラスに作用していました」 しかし、そのルーティンはいつしかエスカレートしていきます。教材の角を全部きっちりそろえる、部屋に飾ってあるトロフィーをピカピカに磨く、それが終わったら次は……と、やるべきことが多すぎて「勉強にたどり着く前にヘトヘトになっていた」と言います。 「大人になってから専門家のかたと話す機会があったんですが、それは強迫性障害(強迫神経症)だろうと言われました。当時は、自分でもちょっとおかしいなとは思っていましたが、やめたくてもやめられなくて。特に顕著になったのは引きこもってからですが、ちょうど不登校になる手前のあの夏休みが始まりだった気がします。とにかく、一連の行動をしてからでないと、勉強をやっても意味がないと思っていました」
家族と顔を合わせるのを避けるように
自分自身が戸惑うと同時に、「我が子が突然引きこもりになって、親も相当戸惑っていた」と山田さん。家庭内はどんどん険悪なムードになり、家族と顔を合わせるのを避けるようになりました。 「優秀で従順な息子が引きこもるなんて想像もしていなかったはずで、親も心の準備ができていなかったんやと思います。かなり干渉されましたね。自分にとっては、自分は水槽の中でじっとしている魚で、水槽をガンガンたたかれて『早く動け、動け』とせかされるような、そんな感覚でした。 親なりに苦しかったんでしょうが、正直、当時はもう放っておいてくれと思っていました。そのため家族を避けているようになり、そうしていると昼夜逆転生活になり、動かないからまたブクブクと太って……。身も心もどんどん『神童だった自分』から乖離(かいり)していきました」