パレスチナ難民支援機関の活動禁止へ イスラエル国会が法案可決 人道支援に制約も
【カイロ=佐藤貴生】イスラエル国会(定数120)で28日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の国内での活動を禁じる法案の採決が行われ、賛成92、反対10で可決された。イスラエル有力紙ハーレツ(電子版)によると90日以内に発効する。 イスラエルはイスラム原理主義組織ハマスとの関連を指摘し、UNRWAの解体を要求していた。イスラエル軍とハマスなどが戦うパレスチナ自治区のガザやヨルダン川西岸では人道危機が深刻化しているが、UNRWAの活動が制約される恐れがある。 UNRWAはパレスチナ難民を支援するため1949年に設置され、教育や保健など多角的な支援を実施してきた。法案に対しては、日韓や英仏独など7カ国の外相が26日、「壊滅的な結果」を招くと警告する共同声明を発表。UNRWAのラザリニ事務局長は「特にガザでパレスチナ人の苦難が深まる」と述べた。 国連は8月、昨年10月のハマスによるイスラエル奇襲に関与した疑いがあると同国が指摘したのを受け、UNRWAの職員9人を解雇すると発表していた。 イスラエルではパレスチナ問題を巡る国連の中立性に懐疑的な意見があり、ハマスによる奇襲後は国連との関係がさらに悪化。イスラエルのカッツ外相は今月初旬、グテレス国連事務総長を入国禁止にすると表明した。