JAL、今治タオル端材を整備用ウエスに再利用 吸水性高く傷つかない
日本航空(JAL/JL、9201)は、愛媛県の「今治タオル」の製造過程で生じた端材を「整備用ウエス」として再利用している。機体の整備作業で汚れの拭き取りなどに使うもので、松山空港で2022年から実証実験が始まり、8月からは羽田空港でも使用を始めた。 【写真】今治タオルの端材を再利用した整備用ウエスでA350を整備するJALの整備士 今治タオル工業組合の正岡裕志理事長によると、愛媛県今治市は日本屈指のタオル産地で130年の歴史を誇り、200近くの工場があり、柔らかい水質が糸や生地にやさしく、柔らかさと吸水性にすぐれたタオル生産に適しているという。 一方で、タオル生産時に指定された寸法に満たないなど、タオルとしては問題ないものの、商品として扱えない規格外品や、製造工程で生じる端材の処分が課題になっていたという。組合では年に2回、端材を焼却処分しており、活用策を模索していた。 JALエンジニアリング(JALEC)松山空港整備事業所の佐藤拓央統括マネジャーによると、今治市からJALに今治タオルの端材について活用方法の相談があり、慢性的に不足しがちな整備用ウエスとして利用することにしたという。 ウエスは機体のオイル汚れなどを拭き取る際などに使っており、JALでは古くなった作業着を再利用したり、レンタル品を使っているという。2022年10月から松山空港で実証実験したところ、「吸水性が高く、柔らかくて航空機に傷がつかない」(佐藤マネジャー)と、整備用ウエスとしての使い心地がよかったことから、四国4空港でも試用したところマイナス評価がなかったことから、2023年1月からは羽田と成田を除く全国のJALの就航空港に拡大した。 組合からウエスの実証実験用に無償提供されたタオルの端材は、これまでに計550キロ。8月からは羽田空港で機体を分解整備する重整備部門でも試用が始まった。「従来のウエスを置き換えるのではなく、使用感や不具合が生じないかなどを実証していく」(佐藤マネジャー)としており、既存のウエスと併用できるかを検証していく。
Tadayuki YOSHIKAWA