鹿児島・トカラ列島近海で最大震度5強 気象庁が会見
12月に入り、地震活動が活発となっている鹿児島県のトカラ列島近海で、9日午前11時5分ごろに強い地震があり、同県十島村で震度5強を観測したほか、同県内で震度4~1の揺れを感じた。気象庁によると、震源の深さは20キロ、地震の規模を示すマグニチュード(M)は6.0。震源が海域だったが、この地震による津波被害の心配はなかった。 鹿児島県トカラ列島近海で震度5強 気象庁が会見(2021年12月9日)
5日間で震度1以上233回
トカラ列島近海では、4日正午ごろから地震活動が活発になっていて、今回のM6.0の地震が発生するまでのおよそ5日間で、5日のM4.9の地震(最大震度4)などを含め震度1以上の地震が226回発生した。今回の地震発生後も活発な状況は続いており、4日正午~9日正午の間に震度1以上の地震が233回(震度5強:1回、震度4:2回、震度3:13回、震度2:65回、震度1:152回)発生している。 このあたりではしばしば、今回のようなまとまった地震活動があり、今年4月にはM5.3の地震(2回)を最大として、震度1以上の地震が265回発生している。このほか、2000年10月2日にはM5.9の地震(最大震度5強)を最大に地震活動が活発になり、水道管が破損する被害などが出た。 気象庁によると、このあたりの海底には、海上保安庁などによって、火山地形と思われる地形があることや熱活動があることなどが確認されていて、内陸で通常発生する地震とは異なるメカニズムで地震が発生していることも考えられるという。ただ、なぜこのような地震活動の起こり方になるのか、詳細なことはまだわかっていないという。
「今後1週間程度」ではなく「当面の間」注意を
気象庁は地震発生を受け、9日午後0時20分から記者会見を行った。束田進也・地震津波監視課長は、「揺れの強かった地域では、落石や崖崩れなどの危険性が高まっている」などと警戒を呼びかけた後、トカラ列島近海の最近5日間の地震活動や、過去の地震活動との比較状況などについて解説した。 通常の地震であれば、大きな地震が発生した後、時間が経つにつれてその後に発生する地震の規模が小さくなったり、発生間隔が空いてきて、地震活動が収束に向かう。しかし、トカラ列島近海の地震活動については「一番最初に大きな地震が起こるのではなく、しばらく続いて、その中に大きな地震がある。かつてここで起きた地震は、週間単位で起きている」と説明。 気象庁は通常、記者会見を行うような規模の地震が発生した時には、「1週間程度、同程度の地震に注意を」と呼びかけるが、今回、束田課長は、このようなトカラ列島近海特有の地震活動を踏まえて「当面の間、同程度(震度5強程度)の地震に注意して」と呼びかけた。