東邦亜鉛、阪和興業と業務提携。再生計画支援で投資ファンドなど出資
東邦亜鉛は18日、不採算事業からの撤退・再編や基盤・成長事業の収益向上、財務基盤の正常化などを柱とする事業再生計画を発表した。今後5年間を事業再生期間と位置付け、資源事業からの撤退や亜鉛製錬事業の再編、コスト削減などの諸施策を実行する。アドバンテッジパートナーズ(AP)のファンドおよび辰巳商会からの出資で資本面での支援を受けるとともに、阪和興業との業務提携で事業面での支援を受ける。(1面参照) 亜鉛製錬は2024年度末までに主要亜鉛製錬設備を停止し、金属リサイクル事業への再編を行う。小名浜製錬所では亜鉛焙焼炉と付随する硫酸工程を停止し、安中製錬所では亜鉛電解工程を停止する。小名浜製錬所では、既存の硫酸タンクを利用した濃硫酸の購入販売と薄硫酸の製造販売を継続し、新規事業であるリチウムイオン電池リサイクル事業に注力する。安中製錬所では各種メタルの製品加工業および新規設備導入(環境ダストリサイクル溶融設備)による亜鉛、鉛、銅、貴金属など環境ダストを原料とした金属リサイクル事業に再編する。主要な亜鉛製錬設備の停止に伴い、亜鉛製錬事業に従事する従業員は希望退職の募集および配置転換を予定する。希望退職者の募集は25年2月から開始し、最大で160人を予定する。資源事業は早期の撤退に向け、アブラ鉱山の持分譲渡などによる撤退を進める方針。 基盤・成長事業のうち、鉛・銀事業は生産効率の改善と使用済み鉛蓄電池によるリサイクル比率の引き上げで生産量の拡大を目指す。成長事業と位置付ける電子部材事業では、既存製品および販路を足掛かりに車載向けや産業機械向けでの事業を拡大し、収益改善を図る。機能材料事業は航空機市場の成長に対応した販売増強を図るとともに、電池材料などの新規市場開拓とローグレード電解鉄生産による拡販を図る。 財務面ではAPファンドおよび辰巳商会への第三者割当増資によって財務体質を改善させる。同増資の実行以降、APから派遣される取締役5人を受け入れる。 同日、これまで未定としてきた25年3月期通期連結業績予想を公表した。売上高1162億円(前期比11・2%減)、経常利益17億円(前期は107億2700万円の赤字)、最終赤字54億円(同464億5200万円の赤字)。亜鉛製錬事業における固定資産の減損、希望退職者に対する割増退職金など関連損失として約80億円を特別損失として計上する。