那覇地裁「少女が年齢偽る理由ない」 性的暴行で実刑の米兵主張一蹴
沖縄本島で16歳未満の少女を車で誘拐し、自宅で性的暴行を加えたとして、わいせつ目的誘拐と不同意性交等の罪に問われた米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)所属の米空軍兵長、ブレノン・ワシントン被告(25)に対し、那覇地裁は13日、懲役5年(求刑・懲役7年)の実刑判決を言い渡した。佐藤哲郎裁判長は少女の証言を「自然かつ合理的で信用できる」とし、被告の無罪主張を退けた。 【一覧で見る】沖縄県内で起きた米兵による主な性犯罪 判決によると、ワシントン被告は2023年12月24日、沖縄本島中部の公園で、少女を「寒いから車の中で話そう」などと誘って車で基地の外にある自宅に連れ込み、16歳未満と知りながら下半身を触るなどした。 不同意性交等罪は、13歳以上16歳未満の被害者に対し、5歳以上年上の者が性交等をすれば、同意の有無に関係なく適用される。公判では、少女が16歳未満であることを被告が認識していたかなどが争点となった。 佐藤裁判長は、「公園でジェスチャーを交えて実年齢を伝えた」という少女の証言は「防犯カメラの映像とも整合し、信用できる」と判断。「(少女が)18歳と答えた」とする被告の主張について「少女が年齢を偽る理由はない」として退け、被告は少女が16歳未満と認識していたと認定した。 また、自宅で性的な行為に及んだ被告に対し、「やめて」「ストップ」と言って抵抗したとする少女の証言についても、「年齢や体格の差もある中、恐怖を感じつつも取り得る精いっぱいの拒絶の意思表示として自然」と指摘。少女の同意はなく、被告も行為の途中から「少女が同意していない可能性があると認識していた」と判断した。 佐藤裁判長は量刑理由で「若年の被害者に対する性的侵害の程度が大きく、同意がないことを認識した後も行為を継続し、悪質さが際立つ」と批判。「慰謝の措置や謝罪が一切ない」とも指摘し、「到底、実刑を免れない」と述べた。【喜屋武真之介】