【米国株ウォッチ】年初来で株価が約3倍のパランティア、今は割高水準なのか
パランティアへの懸念
しかし、懸念もある。これらの契約はしばしば不確実で不安定であるため、予測可能性が低くなる。規制上の問題も、グーグルが現在、独占禁止法(反トラスト法)違反として提訴されているような問題が起きる可能性もある。 パランティアは、上記で述べたような政府向けビジネスだけでなく、企業向けの市場にも大きなチャンスがあると主張している。パランティアが企業向けに提供しているPalantir Foundry(パランティア・ファウンドリー)は、製造業、小売業、ヘルスケアなどの業界で使用されており、生産の最適化やサプライチェーンの管理など、さまざまなタスクを支援している。しかし、このビジネスの業績は今ひとつだ。Q3決算における企業向けビジネスの収益は前年同期比27%増の3億1700万ドル(約490億円)で、市場予想を下回った。 パランティアが獲得する契約金額は比較的大きく、導入も複雑であるため、中小企業を相手にするのではスケールしない可能性がある。パランティアは、既存顧客にソリューションをクロスセルできるマイクロソフトのような大規模で多角的なハイテク企業や、よりニッチなデータ分析企業との競争に直面していると言えるだろう。 ■目標株価 パランティア株は現在、来年度における予想利益の約131倍の株価で取引されている。株価売上高倍率は約40倍だ。市場のコンセンサスでは、今年度から来年度にかけての収益成長率は約25%とされている。そうした収益成長率や長期的な見通しを考慮しても、131倍というPER(株価収益率)は高すぎると私たちは考えている。これに対し、クラウドベースのデータプラットフォームなどを展開するスノーフレークの株価は、収益の約12倍で取引されており、成長率もほぼ同様である。 パランティア株のインサイダー売りも増加している。同社のCEOを務めるアレックス・カープは、過去3カ月間だけで約19億ドル(約2939億円)相当の株式、約4000万株を売却している。これは、インサイダーも株価が割高だと考えていることの表れかもしれず、さらに多くのインサイダーが売却を続ければ、株価を圧迫する可能性もある。 また、マクロな経済環境も不確実性が高い。選挙後、市場は上昇したが、関税や反移民的な政策の脅威の中、インフレリスクは続いている。これらの要因は金利環境、ひいてはパランティアのような高成長株の評価にも影響を与える可能性があるだろう。
Trefis Team