<南スーダンPKO>自衛隊の武器使用の基準はどうなっている?
停戦合意が早くも破られた南スーダン。自衛隊がPKO(国連平和維持活動)で派遣されていますが、今年に入ってPKOの宿営地や施設で武装集団との銃撃戦が相次ぎ、多くの避難民が死傷したほか、他国の隊員にもけが人が出ました。こうした事態を受けて、自衛隊の南スーダン派遣隊長が全隊員に武器と銃弾の携行させ、「正当防衛や緊急避難に該当する場合は命を守るために撃て」と命じたとの報道もありました。もっとも、自衛隊の「武器使用」には憲法上の判断からさまざまな制約や歯止めがあります。自衛隊の武器使用の現状はどうなっているのでしょうか。
「武力行使」と「武器使用」に区別
自衛隊による実力行使は「武力行使」と「武器使用」の2つにはっきり区別されています。 政府統一見解によると、武力行使とは「我が国の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為」、武器使用とは「火器、火薬類、刀剣類その他人を直接殺傷し、又は武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする機械、道具、装置をその物の本来の用途に従って用いること」と定義されています。 憲法第9条は国際紛争を解決する手段としての武力行使は禁じていますが、政府は日本が攻撃を受けた場合のみ武力行使を認めています。ただ自衛権の発動には「急迫不正の侵害がある」などの厳しい三要件が設けられています。
「正当防衛」と「緊急避難」に限定
武器使用についてはどうでしょうか。PKOなどのように自衛隊が海外に出て活動すると、自分たちの安全を守るために武器を使わざるを得ないケースが出てきます。 1991年にPKO協力法が成立したとき、政府が示したのが「隊員個人の生命を守るための必要最低限の武器使用は憲法の禁じる武力行使にあたらない」という統一見解です。もっとも「武器使用」は隊員の安全確保で認めたものなので、当初、使っていいのは「正当防衛」や「緊急避難」に限られ、対象も自分や一緒に活動している隊員だけでした。 2001年のPKO法改正によって対象が、国連職員や民間人など「自分たちの管理下に入った者」や「武器、弾薬などの防護」まで拡大されましたが、使用は必要最小限に限られ、他国の軍隊を守るために使うことはできません。