<南スーダンPKO>自衛隊の武器使用の基準はどうなっている?
自衛隊はできない「駆けつけ警護」
ほかの国の軍隊の武器使用の基準はどうなっているのでしょうか。 諸外国の軍隊の場合、国際法や国連の示す基準によって武器を使用します。国連によるPKOの「交戦規定」では、自分や他国の軍隊をはじめ、国連職員やNGOのメンバーも守れるとされています。特に日本と違うのは、遠く離れた場所に駆けつけて武器を使う「駆けつけ警護」など、任務の遂行を妨害された場合も武器を使用できることです。 しかし、日本ではこうしたケースの武器使用が禁じられているので、自衛隊の海外活動のたびにこの問題が議論になってきました。1993年のカンボジアPKOでは、日本から選挙監視要員が派遣されましたが、当時の基準では監視要員が襲撃されても駆けつけて武器を使うことができませんでした。イラクの復興支援でも、一緒に活動する多国籍軍が攻撃されても反撃できないとして国会で議論になりました。
このため、安倍首相は今年2月の衆院予算委員会で他国からの救助の要請に自衛隊が応えられないことに疑問を投げかけました。5月15日には安保法制懇がPKOをめぐる武器使用基準の緩和を提言しています。 とはいえ、武器使用の範囲を広げれば、自衛隊が現地での戦闘行為に巻き込まれる危険性が高まります。PKOの目的は本来、平和を維持する活動であり、戦闘行為ではないとの意見もあります。平和主義との兼ね合いの中で自衛隊の国際協力がどう変化していくのか、注意深く見守る必要がありそうです。 (真屋キヨシ/清談社)