「依存と強制」から「自立」へ――“学校と社会の違い”を教えると若手が伸びるワケ
放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2023年M-1決勝に輩出した・桝本壮志のコラム。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 【写真】令和ロマンに学ぶ、大人を「ホメとムチ(無知)」で手なずける技術
元教え子たちは売れっ子芸人になっても、よく飲みに誘ってくれます。こちらは、いくら稼いでるか? キレイな女優と会えたか? など下世話なトークをしたいのに、あちらはNSCの思い出を酒の肴に寄こします。 「あんたは目力が怖い」「たまに出る広島弁は凶器だ」「偉そうなことを言ってるときチャックが開いてた」など、たくさんのダメ出しをもらいますし、夜も更けると、よく「アレを教えてくれたのは大きかった」と、あるコーチングに感謝もしてくれます。 そのアレとは、基本すぎてあまり伝える大人がいない“「学校」と「社会」の違い”です。 今週は、多くの人気芸人の一助になった(らしい)、僕が十数年にわたって伝えてきた、“若手のブレイクスルーをうながす言葉たち”をシェアします。
学生と社会人は○○が決定的に違うんです
吉本NSCは「学校」ですが、卒業後すぐにプロとしての活動がはじまる「養成所」でもあるので、僕はまず“学生から社会人への頭の切り替え”を刺激していきます。 「学生気分」を言い換えると、行きたくないけど親がうるさいから登校したり、学校が決めた修学旅行先でハシャいだり、格付けされるのはイヤなのに試験や通知表の評価に一喜一憂したり、言わば“誰かに決めてもらう依存型の生活”です。 しかし社会人は、やりたい企画だからプレゼンする、給料を上げたいからスキルアップする、自分はこんなもんじゃないから転職する、といった“私が決める自立型の生活”ですよね。 僕はその境界線の存在を伝えたうえで、こんなふうに締めくくります。 「これまで皆さんの日々は、依存と強制でした。芸人で成功したい、お金儲けをしたいなら、依存ではなく自立を、強制ではなく自発を大切にしよう」と。 そう伝えると、すぐに行動に移す生徒がわんさか出てきます。 つい先日も、授業でネタを披露できないコンビが、ただ座って見学するのではなく、何やらボリボリ食べ、ぐびぐび飲んでいたので、「おいおい飲食禁止やろ?」と言うと、素知らぬ顔でポップコーンとコーラを見せつけ、一同から「映画館ちゃうわ!」とツッコまれ、笑いをとっていました。