関西なのに「鎌倉」という地名のなぜ? その理由とされる「北条伝説」ゆかり「修行の山」に登ってみた!
北摂(摂津国北部、現在の大阪市北部から兵庫県東部近辺一帯)には、各地に鎌倉幕府第五代執権 北条時頼(ほうじょうときより)伝説が残っている。それは、執権を引退した北条時頼が出家し、最明寺入道(さいみょうじにゅうどう)と名乗って、しばらく修行していたという言い伝えだ。引退したとはいえ、幕府最高責任者だった人がそんなに暇ではなかったであろうが、ともかく北摂には北条時頼が山にこもって修行していたとする場所が多く残る。 ■【画像】眺望も乏しい、いわゆる修行の山に北条伝説の名残りを探すと、意外な光景が広がっていた(写真をすべて見る) なお、北条時頼伝説が残る地は大抵「鎌倉」という地名がついている。今回筆者が訪れた兵庫・大阪の府県境にある高岳 (たかだけ・標高720.7m)の兵庫県側も「鎌倉」だ。高岳中腹には北条時頼が修行していたとされる「猪名川不動尊(いながわふどうそん)」の住所ももちろん鎌倉。恐らく北条時頼はここを拠点に、高岳で修行していたのであろう。
■駐車場から猪名川不動尊へ
高岳に登るにはまず猪名川不動尊を目指す。猪名川不動尊へは関西電力猪名川変電所からスタート。変電所脇に数台停められる駐車場がある。ここに車を停めてから歩いて向かうのがおすすめ。猪名川不動尊までの道はガードレールのない細い林道。大きな石が散乱しており、車での走行には注意が必要だ。距離は1.4km、ゆっくり歩いても30~40分程度なので、歩いて行くのがおすすめ。 途中に「滝の下キャンプ場」というこじんまりとした無料キャンプ場がある。トイレはあるが、きれいとは言い難い。炊事場の蛇口から水は出ない。ただ炊事場の横には猪名川不動尊から流れてくるきれいな沢がある。全体的には上級者向けのキャンプ場といった雰囲気。利用する際は、絶対にゴミを持ち帰ろう。
■猪名川不動尊から変化に富んだ登山道を歩く
猪名川不動尊にたどりつくと、土砂崩れで埋もれたまま放置されているようだった。そのため猪名川不動尊の大部分は立入禁止になっており、奥に滝がちらりと見える程度で拝観はできない。離れたところで手を合わせてから、登山道に入ることにした。 高岳登山口は猪名川不動尊入口の橋の手前にある。登山口を示す看板はないが、道標のテープがあるので迷うことはないだろう。 登山道に入ってからはしばらく沢沿いの道を歩く。ここでは何度か沢を渡る。橋はないので、慎重に渡ろう。沢を過ぎると次は急登だ。そしていくつか鉄塔、ザレ場(砂で滑りやすい場所)、ガレ場(石や岩が転がっていて歩きにくい場所)、再び急登を経て山頂にたどりつく。道もはっきりしているし、道標のテープも多いので迷う心配は少ない。 登山道が変化に富んでいるため、純粋に山歩きを楽しめるのが高岳の魅力だ。大阪50山の一座に選定されていることにも納得である。途中、眺望のよい場所がいくつかあるが、山頂には眺望がない。山頂のすぐ横に鉄塔があり、そこからの眺めは多少望める。鉄塔の下は高圧電線の「ジリジリ」という音が聞こえるものの、開けた場所なので休憩場所にはちょうどよい。