扶養内パートから「社会保険」に加入することに! どうせ社会保険料を引かれるなら「月給20万円」稼ぎたいけど、厚生年金はどれだけ増える? 50歳から60歳まで働く場合でシミュレーション
社会保険加入を避けようと「働き控え」をしていたパート従業員でも、制度の改正や所定労働時間の増加により、社会保険に入ることになった人も多いのではないでしょうか。そして、「どうせ社会保険料を差し引かれるなら、いっそのこと労働時間を増やして将来の年金受給増につなげよう」と考える人もいるのではないでしょうか。 本記事では、同じ時給で週20時間働いた場合とフルタイムで働いた場合の老齢厚生年金の受給額について説明します。 ▼扶養内で働いてるけど、労働時間が「週20時間」を越えてしまった!「社会保険」に加入する必要はある?
老齢厚生年金の額
老齢厚生年金は「被保険者期間」と「納付した保険料」によって、受給できる金額が決まります。 厚生年金保険料は給与や賞与の額に連動するため、より多くの給与・賞与をもらいながら長く働くと、将来の老齢年金が増加するしくみになっています。 ■老齢厚生年金の計算方法 老齢厚生年金(報酬比例部分)は、次のAとBを合計して計算します。 A 平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月以前の加入月数 B 平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入月数 「平均標準報酬月額」とは、2003年3月以前の標準報酬月額(賞与分を含まない)の平均額、「平均標準報酬額」とは、2003年4月以降の標準報酬月額と標準賞与額の合計を、同じ期間の被保険者月数で除した額です。
老齢厚生年金はいくら?
時給1250円で「週20時間働いた場合」と「フルタイムで働いた場合」を想定し、老齢厚生年金額を比較してみましょう。 週20時間(1ヶ月86時間程度)働くと、1ヶ月の給与は10万7500円、同じ時給でフルタイム(1ヶ月168時間程度)働くと、月給は21万円ほどになります。通勤手当など諸手当や賞与はないものとします。 ■老齢厚生年金の増加額 時給1250円・週20時間勤務を、50歳時点から10年間続けると、1年分の老齢厚生年金は7万2000円ほど増加します。 一方、同じ時給(1250円)でフルタイム勤務の場合、1年分の老齢厚生年金は14万4000円ほど増えます。さらにフルタイムで65歳まで働くと、1年分の老齢厚生年金は21万7000円ほど増加するでしょう。 ■より増加する可能性も 給与が2倍近くになるため、老齢年金も2倍近くになる計算ですが、実際はそれほど単純ではなく、それ以上の額になる可能性があります。 なぜなら、就労時間が長くなれば得られる経験やスキルも高くなりやすいからです。そのため時給も上がりやすく、場合によってはリーダー手当の加算や正社員登用の打診などがあるかもしれません。
まとめ
老齢厚生年金の額は、どのくらいの保険料をどのくらいの期間払い込んだかによって決まります。より長い期間、より高い賃金で働くことで、受給額が増えるしくみです。 社会保険加入の機会に今後の勤務時間を考えるときは、現在の手取り額だけでなく、将来的な働き方や保障、老齢年金なども総合的に考えあわせると良いかもしれません。 出典 日本年金機構 は行 報酬比例部分 執筆者:橋本典子 特定社会保険労務士・FP1級技能士
ファイナンシャルフィールド編集部