「あなた本当は田中さんじゃないよね」…”地面師詐欺”に協力した「弁護士」が突如裏切って”なりすまし役”を問い詰めたワケ
地面師に雇われている弁護士
依頼者側の弁護士から問い詰められ、ニセ田中たちが黙り込んでいると、そこに捜査員が乱入した。 「四谷警察の者ですけど、ちょっとお話をうかがえますか」 そう言うと、なりすまし役の女や紹介者の不動産ブローカーたちは互いに顔を見合わせて立ち去ろうとする。それを制しながら捜査員が彼らの手をつかんだ。 「ちょっと待って、まずは話を聞かせてください」 買い手側も目を白黒させている。 「あなた方もお願いします」 そう言われてみなで部屋を出ていった。 先の法律事務所職員は、こうしたシーンはさほどめずらしくもないという。 「やっぱり都内の弁護士さんは数が多すぎて食い詰めていますからね。地面師たちに雇われている先生もけっこういると思います。だから事件がなかなか減らないのです」 この四谷署の手掛けた地面師詐欺の捜査では、犯行グループのメンバーが警察署に連行されて事情聴取されている。だが、その日のうちに釈放され、刑事事件には発展していない。おまけにくだんの弁護士には立ち会った報酬の5万円が支払われているという。実はこのニセ地主役の女性をよく見ると、その容姿が積水ハウス事件で逮捕された羽毛田正美にウリ二つなのである。 『「地面師」が“なりすまし役”を手配してくる場所はまさかの…警察組織を翻弄する「地面師たち」の衝撃的なノウハウ』へ続く
森 功(ジャーナリスト)