夫は「成績が落ちたらお前のせいになる」と言われ…23歳“全盛期”に電撃引退→結婚の女子陸上・寺田明日香が8年後に「母で五輪出場」までの波乱万丈
2019年、女子100mハードルで日本人初の12秒台をマークした寺田明日香(34歳)。23歳で引退後、結婚、大学進学、出産、ラグビー転向を経て6年後に再びトラックに立ち、東京五輪代表の座をつかみ取った。彼女を10代の頃から見守ってきたのが、現在はマネージャーを務める夫の佐藤峻一さん(41歳)だ。将来を嘱望された寺田と、当時陸連職員だった佐藤さんの交際には、多くのハードルがあったという。《NumberWeb「アスリート結婚特集」全3回の1回目/つづきを読む》 【写真】「えっ、何頭身なの…?」超小顔な“ママさんハードラー”寺田明日香(34歳)の長~い手足とバキバキの腹筋。ラグビー時代のムッキムキなフィジカルも…試合での迫力のハードル飛越&夫婦での私服インタビュー特撮も見る ここ数年、好記録ラッシュが続く女子スプリントハードル種目。パリ五輪代表の福部真子(日本建設工業)、田中佑美(富士通)をはじめ12秒台ハードラーが続出している。 日本で初めて13秒の壁を破った寺田明日香(ジャパンクリエイト)は、彼女たちの“姉貴”的な存在だ。 北海道に生まれた寺田は、10代の頃から将来を期待された選手だった。恵庭北高でハードルを始め、インターハイ100mハードルで史上2人目の3連覇を達成。卒業後は福島千里、北風沙織らが所属していた「北海道ハイテクAC」に入り、日本選手権を同種目最年少で制している。
将来を嘱望される選手と連盟職員としての出会い
一方、夫の佐藤さんは進学校として名高い開成高を卒業後、早大第一文学部に入学。大学院でスポーツビジネスを学び、日本陸上競技連盟に職員として採用された。 寺田が佐藤さんに出会ったのは19歳のとき。長野である陸上イベントに参加する際、佐藤さんがスタッフとして同行したのがきっかけだった。 当時、佐藤さんは陸連としては十数年ぶりの新卒採用の職員。必然的に、同年代や若い選手たちのマネージャー的存在になっていたという。 「お世話してくれる、いいお兄さん」「誰に対しても明るい子」当初の互いの印象は、その程度だった。 佐藤さんはその後、寺田と連絡を取り合うようになったいきさつを鮮明に覚えているという。 出会って半年後、2010年6月下旬にあった布勢スプリント。ハイテクACからは福島、北風、寺田がエントリー。佐藤さんもプライベートで現地に向かっていた。 「福島の誕生日が近かったんですよね。夜行バスの車内で『やべ、何か渡さなきゃ』って気づいて。途中のサービスエリアで3人分のお土産を買ったんです。1人だけにあげたらヤキモチ焼いちゃうかなって(笑)」(佐藤さん) 「焼かないよ!」(寺田) とにもかくにも、そのお土産のお礼の連絡をきっかけに、2人の距離は近づいたわけだ。 「その3週間前の日本選手権で、彼女のほうから『いつも風に恵まれない』と話しかけられたんです。僕は都内に住んでいたので、浅草寺の風神のお守りを買いに行って渡したこともありました」 ただ、選手と職員、北海道と東京という心理的・物理的な距離もあり、なかなか交際には発展しなかった。 「好意は持っていましたけど彼女は選手としての全盛期でしたし、職員という立場もあって付き合うことはあり得ないだろうなと。でもある日、寺田の先輩の中西麻耶ちゃんに『明日香のこと、はっきりしろよ! 』って言われたんです。これはもう気持ちを伝えるしかないと……(笑)」 「麻耶ちゃんの猛プッシュだったよね(笑)。でも、あれがなかったら付き合っていないと思う」 後のパラ世界選手権金メダリストからの「圧」を受け、2010年秋、2人は遠距離交際をスタートさせた。 とはいえ、交際にはさまざまな障壁があった。 当時20歳の寺田は未来のハードル界を担う選手だった。2009年に世界ジュニアランキング1位の13秒05をマークし、ベルリン世界選手権に出場。10年には日本選手権3連覇を果たしている。
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